スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
和田毅と甲斐野央だけでない「人的補償」事件簿…“不安のちボウ然”内海哲也、“自主トレ相棒と交換”馬原孝浩は「プラス思考」で新天地に
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byHideki Sugiyama/JIJI PRESS
posted2024/01/13 17:02
巨人時代と西武時代の内海哲也。FA宣言における「人的補償」は過去にもストーブリーグの大きな話題になったことがある
<ソフトバンクのFA獲得選手と人的補償>
2006年:小久保裕紀(巨人)/吉武真太郎
2012年:寺原隼人(オリックス)/馬原孝浩
2013年:鶴岡慎也(日本ハム)/藤岡好明
2021年:又吉克樹(中日)/岩崎翔
2022年:近藤健介(日本ハム)/田中正義
寺原のFA獲得ケースは少々イレギュラーな流れだった。
ホークスはもともと寺原をダイエー時代にドラフト1位指名で獲得。ただ2006年オフに多村仁とのトレードで横浜に放出され、そこからオリックスに再トレードされていた寺原を2012年オフにFAという形で“復帰”という流れだった。その中で人的補償として選ばれたのは、チームメートとして一緒にプレーした時期があるどころか、一緒に自主トレもする間柄の馬原だった。
馬原は2007年には38セーブを挙げて最優秀救援投手に輝くなど安定したリリーバーとしての地位を確立していたが、2012年は肩の手術によって登板がなかった。それゆえの“プロテクト漏れ”だったのかもしれないが……それでも馬原は寺原を気遣う心配りを見せるとともに、2014年にオリックスで輝きを取り戻した。セットアッパーとして定着して55試合登板32ホールドと、最終盤まで繰り広げられたホークスとのリーグ優勝争いの主力として奮投したのだった。
田中正義も「チャンス」と捉えたからこそ
なお「ソフトバンクから人的補償で他球団移籍」を果たしたことで、心機一転した最新ケースと言えば現日本ハムの田中正義である。
移籍1年目にクローザーとして25セーブを挙げた田中は、2023年11月の「NumberWeb」でのインタビューで日本ハムへの移籍決定を「チャンス」と捉えたと語っている。最速160キロの剛球を持つ甲斐野も、田中のように新天地でさらなる飛躍を果たせるか。