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箱根駅伝“ひとり勝ち”視聴率…令和でなぜ?「歩道から男が乱入」「まさかの途中棄権」お茶の間が夢中に…裏番組は勝負捨てたか 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2024/01/03 11:03

箱根駅伝“ひとり勝ち”視聴率…令和でなぜ?「歩道から男が乱入」「まさかの途中棄権」お茶の間が夢中に…裏番組は勝負捨てたか<Number Web> photograph by JIJI PRESS

総世帯視聴率が下がっている昨今、なぜ箱根駅伝は右肩上がりの成長を見せているのか

“全区間”完全中継の年に「初の留学生」

 全区間の完全中継が実現した89年、山梨学院大学1年のジョセフ・オツオリが花の2区で7人抜きの快走を見せる。知名度の低い大学名、箱根駅伝初の留学生ランナーという新鮮さが視聴者を惹きつけた。オツオリが4年生になった92年、山梨学院大学は初優勝を果たし、復路の視聴率26.1%という過去最高を更新した。

「箱根駅伝の中継には臨場感がある。沿道で観客が旗を振って、声援を送る。都会から海、山と景色が目まぐるしく移り変わっていく。正月に親戚同士が集まって何を見るかといえば、最大公約数として駅伝になる。レース以外にも大学や景色という会話が広がる要素もありますからね」

棄権ランナーが視聴率を高める?

 翌93年以降、25.0%未満の視聴率は3度しかなく、いずれも往路だった。基本的に総合優勝の決まる復路のほうが高い数字を獲得する。しかし、96年に異変が起こった。復路28.2%に対し、往路29.2%(当時最高)と逆転現象が生まれた。

 この年、4区で2連覇中の山梨学院大学のエース・中村祐二が3キロ手前で足を痛める。神奈川大学の高嶋康司も5キロ地点で歩き出した。苦しみながら懸命にタスキを繋ごうとしたが、ともに棄権。予想できない展開が数字を押し上げた。

“シンプルな”中継スタイルが強い

 出場校が20に増え、駒沢大学が2年連続3度目の優勝を果たした2003年、復路31.5%で初めて視聴率30%を超えた。強豪校が時代によって移り変わる面白さもあり、その後も20%台後半と高水準を残し続け、21年の復路では過去最高の33.7%を叩き出した。

「日本テレビが“変わらない”のも強さの秘訣だと思います。昨今のスポーツ中継では画面に見所のテロップ、初心者向けのルール説明、SNSの投稿などが載り、情報過多になりがちです。しかし、箱根駅伝は現在の区間、キロメートル、タイムなど必要最低限しか出さない。基本的に、画面がシンプルなので見ていて疲れない」

 アナウンサーは選手のフルネームを伝え、カメラはたすきリレーの場面を必ず捉える。スポーツへのリスペクト、競技を信じる力も視聴率の高さに繋がっているのだろう。日本テレビでの中継を立ち上げたプロデューサーの坂田信久はこう語っている。

【次ページ】 裏番組が勝負を捨てた…?

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