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「お前みたいなサボりには向いてない、って(笑)」宝塚に憧れたバレエ少女が“ハードル次世代スター”になるまで…田中佑美(25歳)の転機

posted2024/01/10 11:01

 
「お前みたいなサボりには向いてない、って(笑)」宝塚に憧れたバレエ少女が“ハードル次世代スター”になるまで…田中佑美(25歳)の転機<Number Web> photograph by L)Takuya Sugiyama、R)AFLO

日本女子ハードル界の“ニューヒロイン”として注目を集める田中佑美

text by

荘司結有

荘司結有Yu Shoji

PROFILE

photograph by

L)Takuya Sugiyama、R)AFLO

女子100mハードルの新星・田中佑美(25歳)。2023年春、日本女子4人目の12秒台をマークし、ブダペスト世界選手権代表の座を射止めた。10月のアジア大会では中国選手のフライング騒動に巻き込まれながらも、冷静な走りで銅メダルに輝いた。

競争激しいこの種目をけん引する存在として注目を浴びる彼女だが、高校生までは宝塚歌劇団のスターを夢見るバレエ少女。その柔軟性を買われてハードルを始めた過去を持つ。彼女は、宝塚受験とハードルを天秤にかけ、なぜ後者を選び取ったのだろうか。《NumberWebインタビュー全3回の2回目/#3に続く》

◆◆◆

 長身とすらりとした脚で、次々とハードルを飛び越えていく田中。幼少期はその両脚で舞台を飛び回っていた。

「今でもバレエの癖が抜けなくて、リード脚のつま先を伸ばしちゃうんです(笑)。バレエにはバリエーションというソロの踊りがあるのですが、得意な動きやキャラに合わせて曲が決められるんですよ。私はフリフリの衣装でゆったり踊るものより、舞台をひたすら飛びながら動き回るバリエーションばかりでした」

 大阪市阿倍野区で生まれ育った田中は、幼稚園の年長の頃に新体操を始め、その友人に連れられて、近くのバレエ教室に通うようになった。

「そこの先生はかなり芸術家肌で厳しくて、振り付けを間違えたら無視されるし、次にいい動きができないと声をかけてもらえないようなハードな雰囲気だったのですが、それが嫌いじゃなかったのかもしれません(笑)」

幼稚園の頃の2つの夢「人魚姫と…」

 幼い頃から体育会気質な面もあったのだろう。そんな厳しいスタジオでバレエを磨きながら、彼女が憧れたのは宝塚歌劇の世界だった。豪華絢爛な衣装を身にまとい、美しい舞台を作り上げる団員たち。バレエ少女はたちまちその虜となった。

【次ページ】 「陸上が大好きなタイプではなかった」

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