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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「怒鳴られるの絶対嫌、よかった野洲で」高校サッカーに衝撃を与えた“セクシー天才集団”「罰走の横で談笑ストレッチ」坊主・鹿実と伝説の決勝
posted2023/12/29 11:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
2005年度の高校サッカー選手権を席巻した野洲高校の「セクシーフットボール」。同校初の全国優勝に貢献した9番・青木孝太は、この活躍を契機にプロ入りを実現。文字通り、人生を変える大会だった。“調子乗り世代”の一員でもあった青木の18年前と今を振り返る【全2回の1回目/後編へ続く】。
今から18年前。冬の風物詩の一つである全国高校サッカー選手権、第84回大会で突如、旋風を巻き起こしたチームが出現した。
テクニカルなドリブルや長短のパス、時にトリッキーなアイデアを織り交ぜながら、まるでアートのような全員攻撃を仕掛ける――無名校ながら一気に全国優勝まで駆け上がった滋賀県立野洲高校だ。
乾貴士らテクニシャン揃いの天才集団
当時の高校サッカーは堅い守備に素早いカウンターが主体。しかし野洲は、楠神順平や乾貴士といった後にプロの世界で活躍するドリブラーや司令塔の平原研を擁した華麗なパス捌きでエレガントなサッカーを展開。観る人の多くに衝撃を与え、筆者はそれを「セクシーフットボール」と名付けた。
そんな野洲で“フィニッシャー”の役割を担ったのが青木孝太だった。
「人生を大きく変える大会でした」
今年で36歳になったストライカーは、柔らかい表情であの時間を振り返る。
「“セクシーフットボール”と言われていることを知ったのは大会に入ってから。まだ高校サッカーが“根性”とか“泥だらけになりながら”といったイメージだった頃、その中で“セクシー”と表現してくれたことはめちゃくちゃ嬉しかった。自分たちはいつもと変わらない感覚でやってきたので、周りの反応が劇的に変化していったことはよく覚えています」