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“駅伝不毛の地”沖縄出身ランナーが箱根駅伝「優勝候補」で主力のナゼ…國學院大・上原琉翔&嘉数純平「ウチナーンチュ」コンビが秘める野望 

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藤井みさ

藤井みさMisa Fujii

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photograph byMisa Fujii

posted2024/01/01 11:04

“駅伝不毛の地”沖縄出身ランナーが箱根駅伝「優勝候補」で主力のナゼ…國學院大・上原琉翔&嘉数純平「ウチナーンチュ」コンビが秘める野望<Number Web> photograph by Misa Fujii

上原琉翔(左)と嘉数純平の沖縄県出身コンビ。これまで沖縄は環境的に長距離競技が弱いとされてきたが、歴史を塗り替える活躍を見せている

 親元を離れての寮生活に、「最初の頃は家に帰りたくて、ホームシックになった」という嘉数。だが次第に環境にも慣れていった。「周りにもなにもないので、休みの日は何もやることがなかったですけど」と笑う。

 2人は1年の時からチームの主力として、駅伝のメンバー入り。在学中は3年連続で全国高校駅伝(都大路)に出場した。特に上原は3年連続でエース区間の1区を務め、チームの主軸として活躍。嘉数も3区、6区、3区と3年間主要区間を走った。

「とんでもない選手がいるな」國學院大からスカウト

 高校1年のときに、2人に國學院大から声がかかった。前田康弘監督は2人を見つけた経緯についてこう振り返る。

「沖縄インターハイの時に関係者の方たちと話して、北山高校に強い選手が集まると聞きました。その中でも中学校の頃から速かったいい選手がいると情報が入ってきたんです」

 国学院大が沖縄で合宿を行なっている縁もあり、高校1年の時に彼らに声をかけ、合宿にも参加してもらった。

「走りを見たら、とんでもない選手だなと。それでスカウトに至りましたね」

 上原は國學院大を出雲駅伝初優勝に導いた主将・土方英和(現旭化成)とダブルエースの浦野雄平(現富士通)の姿に刺激され、「チーム全体の仲の良さも魅力的だと感じた」と当時を思い返す。

「高校1年生の頃、まだ自分はそこまで強くなかったんです。それなのに声をかけてくださったので、しっかり自分のことを見てくれているんだなと感じました」

 高校1年の終わりには、2人とも声をかけてくれた國學院大に進むと決めていた。「一緒に行こうって話してました」と嘉数。「國學院大に声をかけられて、そこからはっきりと箱根駅伝のことを意識するようになりました。当時はすっごく強い、というイメージではなかったので、自分が行っても(箱根駅伝を)走れるのかな、という感じがしました。でも入学を決めてから、どんどん強くなって……」と苦笑する。

 北山高校では、顧問の大城昭子先生が熱心に指導をしてくれた。ときには他県の強豪校に動き作りなどを習いに行くこともあったという。その熱意に応えて努力を続け、上原は高校2年の10月に5000m沖縄県高校記録の14分18秒47を樹立。

 さらに高校3年の4月の日体大記録会で、自身の持つ記録を大幅に更新する13分56秒84で走った。沖縄県の高校生が13分台の記録を出すのは初めてだった。

【次ページ】 得意は違えど…ライバル2人とも希望は「1区」

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