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大谷翔平が自宅で告げた「ドジャース入り」の決断…エンゼルスと大谷はなぜ別れることになったのか? 移籍で明らかになった“29歳の価値観”
posted2023/12/18 17:03
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
大谷翔平はドジャース入り決断の理由をシンプルに語った。
「野球選手として、あとどれだけできるかっていうのは、正直誰もわからないですし、勝つことっていうのが、僕にとって『今、一番大事』なことかなと思います」
大谷は最後までエンゼルスと交渉を続けていた
このオフ、大谷と代理人のネズ・バレロ氏が隠密交渉を貫いたことで、大谷の価値観がどこにあるのか、情報は錯綜を極めた。
これまでの大谷の生き様を考えれば、二刀流をともに育んできた愛着あるエンゼルスと再契約し、盟友マイク・トラウトとともにエンゼルス再建を目指すのではないか。そんな決断も想像したが、選手生命には限りがある。『今』を重視したことは、選手として当然のことといえる。
とはいえ、大谷は誰も経験したことのない未知なる世界を自ら切り開き、実現不能、漫画の世界とも思われたリアル二刀流をメジャーリーグという球界最高峰の場で現実のものとしてきた。己を信じ、固定観念にとらわれず、後へと続く者に新たな道を残す。それが彼のレガシーだと信じてきた。だからであろう。彼にとってエンゼルスはやはり特別なチームだった。ネズ・バレロ代理人は最後までエンゼルスと交渉を続けた事実をドジャースタジアムでの入団会見で明かした。
「ペリー(・ミナシアンGM)を通してエンゼルスとは話してきた。最後まで彼とは何度か会話をした。そして、結局はうまくいかなかった。それでドジャースに行くことにしたんだ。最後までエンゼルスとはコンタクトをとっていたよ」
エンゼルスの返答は、大谷が期待したものではなかった
話は12月8日午前に遡る。バレロ代理人はドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長に10年総額7億ドル(約1015億円)のうち97%に当たる6億8000万ドル(約986億円)の後払い契約を受け入れるのかを最終確認したという。答えは「YES」。その回答を持ちあらためてエンゼルスに連絡を入れた。