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オリックス・安達了一「来季はコーチ兼任」に明かした胸の内…「まだ映像は見られない」“あの試合”の悔いと西武・源田壮亮への「ある伝言」
posted2023/12/07 11:04
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Nanae Suzuki
「安達コーチ頼むよ!(笑)」
契約更改を終えてオリックスの球団施設をあとにする安達了一に、福良淳一ゼネラルマネージャー(GM)が声をかけると、安達は即座に反応した。
「選手です! 選手!」
その前に行われた記者会見ですでに、来シーズンは選手兼任コーチになることを公表していたが、安達はまだ何かにあらがっているようで、福良GMはその様子を面白がっていた。
安達は社会人野球を経て2012年にドラフト1位でオリックスに入団。13年目となる来季は36歳で迎える。ファインプレーをファインプレーに見せず、当たり前のようにこなす安定感抜群の守備で、ショート、セカンドとしてチームを支えてきた職人が、コーチ兼任となっても不思議ではない。
ただ、今回は安達の体調面を考慮しての判断だと、福良GMは言う。
「コーチ兼任」の狙いは…
今年、安達は自己最少の23試合の出場に終わった。開幕直前に左肩甲下筋の筋損傷で戦列を離れ、その後も脇腹を痛めるなど怪我に見舞われたことに加えて、夏場を二軍で過ごす中で体調を崩した時期もあった。安達は難病の潰瘍性大腸炎を抱えており、酷暑の中で連日プレーしたことが体に影響したと思われる。
そこで球団は“兼任コーチ”という提案に至った。一軍登録を抹消となっても、コーチとして一軍に帯同しながらコンディションを整えることができ、必要な時は二軍で試合に出るといった臨機応変な対応が可能になる。
後輩たちへの指導を求めることは「あまり考えていない」と福良GM。
「安達の体のことやいろんなことを考えたら、これがベストかなと。選手優先で、あくまでも自分のことを考えてやってくれたらいい」
守備力だけでなく、場面に応じたチームバッティングを実践できる打撃技術も備えた欠かせない存在に、長く現役を続けて欲しいという球団の最大限の配慮だ。