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“J3降格”の古巣監督就任「今こそ恩返しをする」森保一とミシャ、西野朗や長谷川健太に学び…“有能説”の中で片野坂知宏が挑んだトリニータ再建
text by
ひぐらしひなつHinatsu Higurashi
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2023/12/04 11:01
大分トリニータ時代の片野坂知宏監督(2018年撮影)
J1経験クラブの中でJリーグ史上初めて、J3で戦うことになったトリニータ。それをもう一度、かつてのようにJ1で戦えるところまで引き上げようと、片野坂は自らに固く誓った。
「いまこそ恩返しをするときだと思っています」
「古巣の危機を救いに来ました。いまこそ恩返しをするときだと思っています」
2016年1月、新体制発表会見で就任の挨拶をしたときのことは、いまでもはっきりと思い出せる。
ガンバが天皇杯を決勝まで勝ち上がったためトリニータ監督就任の発表がずれ込み、新指揮官内定の噂ばかりが広まる中でファンやサポーターがやきもきしていたぶん、発表時の反響は大きかった。
J1では残留争いを繰り返し、2度のJ2降格を経験したトリニータのサポーターたちにとっても、J3降格という初めての事態はディープインパクト。当時の社長と監督が退任して先が見えず、予算規模縮小や戦力流出の様相に脅え、おそらく何人もの候補者から指揮官就任を断られたに違いないともっともらしい憶測も飛び交う中で、ただ祈るようにそのときを待っていたのだ。
ガンバやサンフレッチェでコーチとして在籍したシーズンに多くのタイトルを獲得していることで、Jリーグファンの間では「片野坂有能説」が広まっている。そこにすべての希望を託す勢いで歓迎してくれるトリニータサポーターたちを前に、初めて自分のチームを持つ新人指揮官は、身を引き締めた。
あの日から6年。
初陣での勝利は忘れない。開幕はホームでのAC長野パルセイロ戦だった。
<後編に続く>