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“J3降格”の古巣監督就任「今こそ恩返しをする」森保一とミシャ、西野朗や長谷川健太に学び…“有能説”の中で片野坂知宏が挑んだトリニータ再建

posted2023/12/04 11:01

 
“J3降格”の古巣監督就任「今こそ恩返しをする」森保一とミシャ、西野朗や長谷川健太に学び…“有能説”の中で片野坂知宏が挑んだトリニータ再建<Number Web> photograph by Etsuo Hara/Getty Images

大分トリニータ時代の片野坂知宏監督(2018年撮影)

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ひぐらしひなつ

ひぐらしひなつHinatsu Higurashi

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Etsuo Hara/Getty Images

優勝、残留、降格、解任……Jリーグクラブをめぐる歓喜と悲哀は今シーズンも各カテゴリで起きた。その現場に直面する監督は、どのように選手との関係をはぐくみ、決断を思考しているのか――『サッカー監督の決断と采配-傷だらけの名将たち』(エクスナレッジ)から、来季から大分トリニータ監督に再就任する片野坂知宏の項の一部を転載してご紹介します。(全2回の1回目/#2につづく)

 2015年晩秋、トリニータからの監督就任オファーを前に、片野坂は逡巡していた。

 当時、トリニータはJ2で激しい残留争いの真っ最中。外から見ているかぎり戦力は十分に揃っており、現在の順位が妥当とは思えない。だが、どんなに戦力が充実していても、ひとたびボタンを掛け違えれば何が起きるかわからないのがチームというものだ。おそらくいまのトリニータもそんな状態なのだろう。ここでJ2に踏みとどまれるか、それともJ3に転落してしまうか。その瀬戸際を、チームは危なっかしく揺れ動いているようだった。

ガンバのU-23チーム監督の就任が内定していたが

 この時点ですでに、片野坂は当時トップチームのヘッドコーチを務めていたガンバ大阪で、来季発足するU-23チームの監督への就任が内定していた。ガンバと言えばJリーグ屈指のビッグクラブ。ビッグスポンサーの支援をバックに潤沢な予算に恵まれ、外国籍選手や日本代表級のプレーヤーも多く擁して、毎年のようにJ1の上位争いに食い込んでいる。

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 実際に片野坂もコーチやヘッドコーチとして、リーグ戦やカップ戦でいくつものタイトルを獲得してきた。U-23監督として好結果を残せば、自ずといずれトップチーム監督への道も拓けてくる。

 とはいえU-23チーム。いくら監督とは言ってもトップチームの戦術を踏襲することになる。この2年間、ヘッドコーチとして支えてきた長谷川健太監督のことは敬愛してやまないが、指導者としての道を歩みはじめてちょうど10年、自分の中にも確固たるサッカー哲学が輪郭を成しつつあると、片野坂は感じていた。

西野、ミシャ、森保からの学びが血肉に

 2007年から3シーズンはガンバでサテライトチームの監督を兼任しながら、コーチとして西野朗監督に。2010年に移籍したサンフレッチェ広島では、やはりコーチとして最初の2シーズンをミハイロ・ペトロヴィッチ監督に、もう2シーズンを森保一監督に。

 再び戻ったガンバでの長谷川監督の右腕としての仕事も含め、4人の名将から学び自らの中で咀嚼したものが、徐々に吸収され血肉になってきた体感がある。

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