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キタサンブラックvsサトノダイヤモンド、2度の激闘をアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はどう描いたか?【ウマ娘考察#5】
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
posted2023/12/01 18:00
史実でも2度の激闘を繰り広げたキタサンブラックとサトノダイヤモンド。ウマ娘の世界線ではどのように描かれたのか
2017年のレースでは1番人気はキタサンブラックだったが、2007年以降1番人気は10連敗中という気になるデータが残っていた。ちなみに、最後に勝ったのはディープインパクトだった。
レース前には、過去に活躍したウマ娘たちのダイジェスト映像がキャッチコピーとともに流れた。これは実際のレースでも競馬場で見られる演出だ。作中に登場した映像のメジロマックイーン「勝利への確信は時に人を退屈させる。」(2011年JRAのCM「絶対の強さは、時に人を退屈させる。」)、サクラローレル「桜色に瞬く彗星の輝き」(名馬の肖像“彗星の輝き”)、ゴールドシップ「黄金色に輝く栄光への航路」(名馬の肖像“栄光への航海”)はそれぞれ、いずれも名コピーが元になっていると思われる。
芝がめくれる馬場状態も再現
そしてレースでは、有マ記念、大阪杯に続いてキタサンブラックはハナを切らずに2番手から進む。先頭に立ったのはヤマカツライデン(テューダーガーデンであろうか?)。なんと1000メートル通過58秒3の超ハイペースを刻み、それが最後の直線での死闘に繋がっていく。
レースの描写を見ていくと、土塊と芝が宙を舞っているのが分かる。これは馬場が水気を含んでいると競走馬が駆けた後に実際に起きる光景だ。ちなみに同じ良馬場だった第7話の有マ記念ではそういった描写はなく、細かな馬場状態を再現していることがわかる。
実況のベースは関西テレビの吉原功兼アナウンサーだが、このレースも第7話の有マ記念同様、キタサンブラックとサトノダイヤモンド、ふたりの戦いがメインとなっているため、勝負どころの実況はオリジナルのものとなっている。
ハイスピードを長く維持する、メジロマックイーンを思わせるレース運びで逃げきったのはキタサンブラック。その勝ち時計3分12秒5は前年を2秒8も上回るレコードタイムだった。実況も「10年以上も破られていなかったあの衝撃の記録を遂に打ち破りました」とその衝撃を伝えている。史実を遡ると、塗り替えられた記録は名馬ディープインパクトの3分13秒4(2006年)。このタイムも1997年にマヤノトップガンがマークしたレコードを1秒も縮めたもので、実際の実況でもそのディープインパクトをも上回った衝撃を吉原アナが伝えていた。
これでキタサンブラックとサトノダイヤモンドは1勝1敗。この後、親友でありライバルでもあるふたりの物語はどのように展開していくのだろうか……?