ゴルフPRESSBACK NUMBER
宮里藍を抜く賞金12.8億円、実はバーディー女王…今季優勝ゼロでも“数字”が物語る畑岡奈紗“最強説”「来季こそ悲願のメジャー制覇を」
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byMichael Reaves/Getty Images
posted2023/11/24 06:01
米女子ツアー最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」でエイミー・ヤン(左)と優勝を争った畑岡奈紗(24歳)
WOWOWの中継リポーターとして最終戦を取材した片平光紀(初代アマチュアランキング世界1位)は、年々増える日本勢のリーダー的存在になった畑岡の逞しさを讃える。
「(CMEグループ・ツアー選手権で)畑岡選手は素晴らしいゴルフをしていました。優勝したエイミー・ヤン選手(韓国)とバーディーを取り合う展開はまるでマッチプレーを見ているかのような迫力でした。最後の3ホールでヤン選手に軍配が上がりましたが、両選手とも最後の最後まで攻めのゴルフを貫きました。畑岡選手が負けたと感じるシーンはなかったです」
さらに以前から畑岡のゴルフを近くで見守ってきた片平は、今シーズンの成長を感じ取っていた。
「毎年レベルアップしていますが、今年もさらにショートゲームの引き出しが増えて色々な打ち方ができていました。攻め方がワンパターンになる選手は意外と多いのですが、畑岡選手は経験もありますし、どんなコースでも対応できるのが強みですね」
「以前よりもフラット」4年前の苦い記憶
アメリカに拠点を移してから、7年目のシーズンが終わった。ここまで米ツアー6勝と着実に歩みを進めてきた。そんな畑岡の悲願は、公言してきた「メジャー制覇」である。
今季メジャー初戦となった4月のシェブロン選手権の練習日、畑岡は自身の気持ちをこう表現していた。
「以前に比べたら“フラット”だと思います。今まではやっぱりメジャー大会になると『さあ、これからメジャーだ』という意識が強かったんですけど、最近はメジャーだからって特別なことをするわけじゃなく、しっかり3日間良い準備をすることを心がけています」
苦い記憶は4年前の2019年。前年の全米女子プロで2位タイに入るなど飛躍のきっかけを掴んだ翌年のシーズンということもあり、当時19歳の畑岡は「(メジャーを)狙いにいく」と宣言して臨んだ。しかし、強すぎる気持ちが空回りしたのか、メジャー5試合のうち3試合で予選落ちを喫した。
反省を生かし、冷静にプレーすることを心がけるようになった畑岡が最もメジャー優勝に迫ったのが2021年の全米女子オープンだった。笹生優花とプレーオフを戦ったが、、惜敗。それでも「優勝を狙ってというよりは、自分がいいプレーをして回っていたらプレーオフになったという感じでした」と悲願達成へのカウントダウンを感じさせる試合だった。