現実的には全日本の8名が中心になり、残りは2枠になるが、そこを花尾恭輔、唐澤拓海、白鳥哲汰、昨年箱根駅伝アンカーの青柿響ら強力な4年生が虎視眈々と狙っている。上級生が強すぎて1年生に出番がなかなかまわってこないのは、来年のチーム作りを考えるとちょっと不安な面もある。だが、2年連続の3冠達成という前人未踏の記録を残すことで駒澤大は、他の大学が経験できないものをチームの財産として得られることになる。それを体験できる今の1年生は、このレベルを標準にしていくので、さらに駒澤大の基準を押し上げていくだろう。

当日変更で出走せず、サポートにまわった花尾　©Yuki Suenaga

箱根は、負けるつもりはありません

　出雲、全日本を獲り、藤田監督も野心に燃える勝負師の表情になってきた。

「箱根は、負けるつもりはありません。全力で箱根を獲りにいって、ぜひ3冠を達成したいと思います」

　藤田監督は、きっぱりとそう言い切った。

　全日本で駒澤大は、その走りから他のチームを絶望的な境地に追いやった。この時点で駒澤大はすでに優位に立っている。出雲から全日本まで14区区間ですべて首位を快走し、誰の背中も見ていない。箱根でも実現すれば、2023年の駒澤大は「伝説のチーム」として語り継がれることになるだろう。その可能性は限りなく高い――。