- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「そうか、7年もかかっちゃったんだ…」人的補償で日本ハム移籍、“7年前のドラ1”田中正義が涙を流した日…“正義執行人”が語る、今季の飛躍
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/07 11:02
今季47試合に登板し、25セーブを挙げた田中正義。本人が今シーズンを振り返った
「あの6年間があったから……その思いしかないですね。今シーズン、2月から一度も痛いところもなくここまで投げられたのは、6年間しっかりやってきたからだと思います。自分の体と向き合って何回も壁に当たってそれをクリアして、ということを繰り返してここまで来ることができた。人より歩みは遅いというのは自覚しているんですけど、自分なりに頑張ってきたから今があると思っていますね」
「悪いことは絶対できない」正義感
SNS上では、クローザーの田中が試合を締め括ると「正義執行」というワードがトレンド入りする。ちなみに、「まさよし」ではなく「せいぎ」と読む名前の由来は、兄が「“せいぎ”がいい!」と希望したことなのだとか。
「プレッシャーはありますよ(笑)。だって『田中正義容疑者』とか、やばいじゃないですか。悪いことは絶対できないっていうプレッシャーは小さい時から感じていました(笑)」
怒涛の1年を駆け抜けた今、「クローザー」としてさらに高みを目指す思いは強くなっている。その先にある大きな目標はもちろん、優勝の“正義執行”だ。
伸び代を感じていられるのはある意味幸せ
「それがプロ野球選手になった以上、最高の瞬間だと思う。優勝チームのクローザーっていうのは、半端じゃないと思うんです。Aクラスのチームを見ていても、(ロベルト・)オスナや益田(直也)さん、平野(佳寿)さん……。あのレベルまでなんとかいけるように、それに見合う実力をつけていきたいと思います」
暗中模索していた1年前は想像すらできなかった。大きな夢を描けるようになった今の自分の姿を、田中はどう感じているのか。
「頑張ってるんじゃないですかね。足りないところだらけなんですけどね。まだまだ腐るほどやることはある。でも、そう思えるところまで来たのが一歩成長。伸び代を感じていられるのはある意味幸せです。歩みが遅いなりに頑張ってきたな、って思いますし、これからも1日1日、前に進んでいきたい」