- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「そうか、7年もかかっちゃったんだ…」人的補償で日本ハム移籍、“7年前のドラ1”田中正義が涙を流した日…“正義執行人”が語る、今季の飛躍
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/07 11:02
今季47試合に登板し、25セーブを挙げた田中正義。本人が今シーズンを振り返った
「本の中で好きな言葉があって……『どんなものでもヒビがあって、光はそこから差し込む』というナポレオン(・ボナパルト)の言葉だったかな。それが凄く心に残りました。元々、僕はなんでも完璧にこなしたい、という性格で、できないことがあったら凄く気になるんです。ミスがあって怒られると傷つくし、そこに凄くエネルギーを使ってしまっていた。
でも完璧な人なんていないし、完璧な投球なんてないのだから、とにかく自分ができることをやるだけだな、と考えるようになりました。歯車が噛み合っていないときやしんどい時も必ずある。課題が解決しなさすぎても一生前に進まない。でもそればっかりやっていても前に進まない。バランスをとりながら、ですね」
背中を押してもらっているような感覚
オープン戦で結果を残し、リリーフとして開幕一軍入りすると、3月30日の開幕戦から4試合連続無失点に抑えた。4月21日の楽天戦では1点リードを逆転されサヨナラ打を浴びて黒星がついたが、その2日後、同じ相手に9回、今度は同点の場面で登板。無失点に抑え、きっちり役目を果たした。そして、迎えた26日の試合で、涙のプロ初セーブを挙げることになる。
「3月のオープン戦からリリーバーになって3、4試合投げて、そのまま開幕戦を任せられる。その流れは自分の中ですごく大きくて、どんどん背中を押してもらっているような感覚でした」
試合後の通勤時間に考えを整理
クローザーに定着し、5月7日の楽天戦ではプロ初勝利。一気に上昇気流に乗り出した田中の覚醒には、対戦相手となったホークスの元チームメートも、「すごいな」、「ブレークしているね」と喜んでくれたと言う。試合の中で最も重圧がかかるマウンドを任されるクローザーのポジションについて、田中はどのように受け止めてきたのか。