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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「そうか、7年もかかっちゃったんだ…」人的補償で日本ハム移籍、“7年前のドラ1”田中正義が涙を流した日…“正義執行人”が語る、今季の飛躍
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/07 11:02
今季47試合に登板し、25セーブを挙げた田中正義。本人が今シーズンを振り返った
「できることしかできないので、自分のやれることをその日その日、全力でやるっていうことですね。成功する日もあれば失敗する日もあるので、それを積み重ねていく。そういう考え方で1試合1試合、やってきました。(本拠地の)エスコンから寮まで、50分近く通勤時間がかかるんですよ。打たれたりしたら直後は思考がとっ散らかるんですが、帰り道に運転しながら色々と考えを整理できる、そんな切り替えの時間になっているんじゃないかなと思います」
いい意味で壁に当たっている
7月にはオールスターゲームに監督推薦で初出場。29歳の誕生日だった7月19日の第1戦でバースデー登板を果たす夢のような時間も過ごした。後半戦は相手打者からも研究され課題も出てきたが、その試行錯誤さえも前向きに捉えられていると田中は話す。
「肩の怪我としか向き合えていない時間が長かったので。投げられない時はイメージでしかなかった。でも毎日対戦があって、実際に打たれて、ああそうか、と感じることもある。
いい意味で壁に当たっているなって。特に後半戦は課題が顕著に出てきて、点を取られる試合も多い。9回に投げるのが楽しい、なんて即答はできません。やっぱり苦しいですよ。でも勝ったまま試合が終わった時は本当に良かったなと思いますし、それがリーグ優勝とか、日本一の瞬間、マウンドにたてていたら最高だなって思います」
あの6年間があったから…
今シーズン最後の登板は、奇しくも古巣・ソフトバンク戦だった。かつての本拠地であるPayPayドームで1点リードの9回にマウンドに上がり、わずか9球で三者凡退に斬った。苦しんだソフトバンクでの6年間。それでも、その時間が自分にとっていかに大切だったかを今、実感していると明かす。