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「大きくステップアップ」「自分への挑戦」フィギュアスケート界“注目の新星たち”の現在地…シニアデビューを飾った「二人の高校3年生」とは
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/25 17:00
左)鍵山優真、右)千葉百音
島田高志郎22歳の決意「心が震えるような演技を」
「自分への挑戦」
島田高志郎は言う。今シーズンのフリープログラム『死の舞踏』に寄せての言葉だが、それはフリーに限らずトータルでのスタンスでもあるだろう。
「クラシックな曲に挑戦したいとステファン(・ランビエル)コーチに掛け合って、ディスカッションののちに決まりました」
演奏のバージョンにもこだわり、オーケストラではなくピアノによるものとし、今までの自分になかった領域の表現に取り組む。
「今日の演技だとお客さんが感動で心が震えるというところまでまったく及んでいないなと感じました。自分にしか出せない特別な世界観を大事にプログラムを作り込んでいって、いつかは心が震えるような演技を目指して、練習をまずはしっかり積んで頑張っていきたいと思います」
島田は昨シーズンの全日本選手権で自身初めての表彰台となる2位となった。その成績を受けて四大陸選手権にも初めて出場。階段を上がって見えた新たな光景は、さらなる挑戦と成長へと島田を促す。
何よりも彼の姿勢が伝えるのは、早くから注目される中、ときに苦しみながらも絶えることのないスケートへの情熱だ。
シニアデビューを飾った二人の高校3年生
初戦のスケートアメリカには、今シーズン、シニアデビューを飾った2人の女子選手が出場した。
その一人が千葉百音だ。
昨シーズン、ジュニアグランプリデビューを飾った千葉は全日本選手権で5位となると四大陸選手権代表に。この大会で銅メダルを獲得、大きくステップアップした。
シニアへと移行する今シーズンを前に、大きな決断をする。5月、生まれ育った仙台を離れ、京都の木下アカデミーに移籍したのだ。
「大学に入ってからか今シーズンからか、すごく悩みました」