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“2年前の脱臼事故”から復活の表彰台…佐藤駿19歳のスケートはどう進化したのか? 今季も凄いマリニンは「芸術性と創造性を追求する」
posted2023/10/25 11:01
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
10月20日、テキサス州ダラス郊外アレンで今季GPシリーズ開幕戦、スケートアメリカが始まった。初戦であるにも関わらず、男子トップはレベルの高い素晴らしい戦いが繰り広げられた。
優勝したイリア・マリニン、2位フランスのケビン・エイモズに続いて3位に食い込んだのは19歳の佐藤駿だった。
SPは宮本賢二振り付け、アストル・ピアソラのタンゴで冒頭の4+3トウループがきれいにきまった。続いた4フリップはステップアウトになったものの、持ち直して3アクセルを降りて91.61を獲得し、自己ベストスコアを更新した。
「フリップを跳ぶ前にエッジがひっかかってしまったんですけど、しっかり回りきることができて、ステップアウトにはなったけれど大きな転倒とかしなくて良かった。ジャッジの皆さんとしっかり視線を合わせることができたと思います」と手ごたえを口にした。
叩き込まれた“スケートの基礎”
このGP初戦の目標を聞かれると、「順位ももちろん大事だと思うんですが、それよりも今シーズン、佐藤駿が変わったというところをジャッジやファンの皆さんに見せられるような、そんな演技をしたいと思います」と語った。
元々は高い4ルッツなど、優秀なジャンパーとして知られている佐藤。だが今季は2022年北京五輪アイスダンス金メダリストのギョーム・シゼロンにフリーの振付を依頼し、オフシーズンの間にカナダでスケーティングを基礎から改めて叩き込まれたのだという。
「初日はスケーティングを一緒に2時間くらいして、もう少しフリーレッグを意識した方が良いよ、と教えてもらった。ギョーム先生は一歩の滑りが全然違うんです」
新フリーの音楽はヴィヴァルディ「四季」のアレンジで、アイスダンサーが振り付けた作品らしく内容の濃いプログラムに仕上がった。