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「大きくステップアップ」「自分への挑戦」フィギュアスケート界“注目の新星たち”の現在地…シニアデビューを飾った「二人の高校3年生」とは
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/25 17:00
左)鍵山優真、右)千葉百音
それでも、目標とする2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪出場のためには「準備期間が2年では足りないと思いました」。
これまでもこだわって取り組んできた表現やスケーティングに磨きをかけたかった。そして昨夏の国内大会で4回転トウループに挑戦したのが示すように、高難度のジャンプも習得したかった。どこか感じさせる芯の強さが導いた決断だった。
その成果を示すべく臨んだグランプリシリーズデビュー戦、スケートアメリカは6位。得点を目にした表情は硬かった。順位以上に、昨シーズン3度出した合計得点200点台に及ばない177.79点が示すように内容に満足できなかった。苦さとともに終えたデビュー戦を糧に、フランス大会を見据える。
スケートアメリカ4位の新星
もう一人は吉田陽菜。千葉と同じ高校3年生、千葉に先駆けて2020年の春、名古屋から木下アカデミーに加入した。
中学1年生でトリプルアクセルを成功させ注目を集めていた吉田の存在をあらためて知らしめたのは昨シーズンの全日本選手権だ。ジュニアグランプリシリーズで連勝するなどして迎えた大会で、ショートプログラムは14位にとどまる。だがフリーではシニアのそうそうたる顔ぶれが並ぶ中で3位、総合でも6位とジャンプアップ。
「すごいうれしいです。もっともっと伸びしろはたくさんあるので、少しずつ上に上がっていければと思います」
その後、四大陸選手権にも出場を果たしている。
迎えたスケートアメリカではショートで9位と出遅れるがフリーでは3位で巻き返し4位。晴れやかな表情を見せた。
彼らにとどまらず、誰もがそれぞれにテーマを持ち、より高みを目指して進んでいく。その中でどのような姿を見せていくのか、シーズンは進んでいく。