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「大きくステップアップ」「自分への挑戦」フィギュアスケート界“注目の新星たち”の現在地…シニアデビューを飾った「二人の高校3年生」とは
posted2023/10/25 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
フィギュアスケートの2023-2024シーズンは、国内外の大会を経てグランプリシリーズがスケートアメリカからスタート。今週末には第2戦のスケートカナダが始まる。
新たなシーズンは、雪辱を期して、あるいは飛躍を志して、それぞれの思いとともに臨むシーズンでもある。
鍵山優真が描く青写真
「すべてをリセットして、新しい自分が100パーセントであるようにと思っています」
今シーズンへ向けて、鍵山優真はこう青写真を描き進んできた。
2022年の北京五輪と世界選手権で銀メダルを獲得。だが昨シーズンは左足の怪我により、出場は全日本選手権に限られた。その大会もまた、万全というところからは遠い状態にあった。そんなシーズンをこう語っている。
「最初は試合に出られないのが悲しかったですが焦りはなかったです。(全日本は)プラスでしかなかったです。今まで以上の悔しさもすごく感じて、次につなげていきたいなって思えたので」
着実に一歩ずつ足を進め、2月末に氷上で滑り始めた。
「国内だけでもほんとうにレベルが高い」
7月には全日本合宿に参加。
「国内だけでもほんとうにレベルが高いものになっているので、自分の中で競技に対する気持ちがまたすごく燃えてきています。世界を見ればほんとうにいろんな個性を持っている選手がいて。4回転アクセルだったり、表現がすごい選手がいたり、いろんな選手たちから学ぶことがあると思うので、うまく吸収していけたらいいし、僕自身も世界に出たときに今シーズンのプログラムで目立つよう頑張っていきたいと思っています」
ジャンプを戻していくこともさることながら、表現にも力を注ぐ。それを示すのがカロリーナ・コストナーがコーチとして加わったことだ。スケーティングを中心に屈指のスケーターとして活躍してきたコストナーに今春、イタリア合宿で指導を受けたとき、そのスケーティング技術や細部に行き届いた表現に圧倒された。もっと学びたいと思った。
「理想はオールラウンダー」を掲げる鍵山は、あらゆる面で進化を遂げるべく、ただ復帰するにとどまらず新シーズンへと備えてきた。