「もうちょっとで本当に金メダルにたどり着ける」

　新たに感じた課題だったが、手ごたえも得た。

「もうちょっとで本当に金メダルにたどり着けるところにはいるなっていう風に実感しています。アジア大会で感じたように、メンタルもフィジカルも含めてそこに合わせるコンディション作り、そういう部分をやっていけるようにして、しっかり練習を積んで、試合の中でも経験を積んでいけたらいいですし、パリに向けて突き進んでいくだけかな、と」

　原動力は、ミックスダブルスに感じる魅力と、使命感だ。

「女子ダブルスのラリーの長さは魅力的だし、男子ダブルスのスピードある展開も魅力的です。そのどちらも混ぜた展開というのがミックスダブルスです。やっぱり男子は女子を狙うので、頑張って頑張って女子が拾うのもすごく魅力的ですし、あるいは女子の選手が男子選手相手に決めたり、いろいろなコンビネーションもあるので、女子ダブルスや男子ダブルスとは違った魅力があります。

　やっぱりミックスダブルスは楽しいし、ちょっとずつミックスダブルが広まってきてくれて、見てくれる人がメッセージとかで『ミックスダブルス面白いです』『ミックスダブルスこれからやります』と言ってくれて、ミックスダブルスの面白さを皆さんに知ってもらえるっていうのがいちばん嬉しいです。日本でミックスダブルスは最弱って言われていたところからここまで来れたのがすごく嬉しいし、もっともっと広めていきたいです。そのためにも自分たちがパリで金メダルを獲れたらと思っています」

東野と渡辺の絆「同じ目標を持っていれば大丈夫」

　パリ五輪へ向けて、渡辺と2人で話すことはあまりないという。

「お互い、あまり『こうやっていこうね』と話をするタイプではないので。同じ目標を持っていれば大丈夫だと思っています。あとはこうした取材の場で勇大くんが言っているのを聞いて、『あ、そうなんだ』と思ったり。それも間接的なコミュニケーションですね。この場で勇大くんに伝えたいことですか？　『フィジカル、頑張ろう』くらいですかね（笑）」

　試合では、他のペアには見られないほど細かく丁寧に言葉を交わす光景がある。点数を獲ったとき、苦しいとき、ミスしたとき、目を合わせると、声を掛け合っている。

「奇跡」と感じた出会いから10年を超えて、2人は互いを大切に思い、だからこそコミュニケーションを育んできた。

　時間をかけて一緒に築いてきた土台の上で同じ夢を追い、2人は世界を転戦し続ける。

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