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「ただレースを楽しみたい」マルケスついにホンダと決別、来季ドゥカティでの超人的パフォーマンスに期待大!
posted2023/10/20 11:02
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
マルク・マルケスが来季ホンダを離脱し、新たに「チーム・グレッシーニ」から参戦することが決まった。この数戦、パドックの話題は、マルケスのことばかりだったが、第14戦日本GPが終わった3日後の10月4日に、ホンダが今季を最後にマルケスとの契約を終了することを発表。その翌週、第15戦インドネシアGP開幕前日の12日に、今度はドゥカティのサテライトチームであるチーム・グレッシーニがマルケスと2024年の契約を交わしたことを発表した。
2013年にホンダワークス入りしてから、MotoGPクラスで6度のタイトルを獲得。その他、数々の大記録を樹立してきたマルケスが、マシンの開発で失敗が続くホンダを離れる。この2年間、たびたび噂に上ってきたことだが、いよいよそれが現実となった。
移籍を決断したマルケスは、世界が注目する中、インドネシアGP開幕前日の公式会見でこう語った。
「ホンダとの11年間は良い関係だったし、ホンダを離れる決断は本当に難しかった。ホンダはバイクのことを良く知っているし、待遇面も良かった。自分にとって本当に居心地のいいチームだった。でも、怪我をしてからの4年間は、とても大変な時期だった。いまはただ、もう一度コースに出てレースを楽しみたい。そうでなければ、レースを続ける意味がない。僕の望みは、これからのキャリアの中でもっともっとレースを戦うこと。だから、まずはレースを楽しむことを目標にしたい。そのためにグレッシーニを選んだ」
マルケスはコロナ禍で開幕が遅れた2020年7月のスペインGP決勝で転倒し、右腕上腕骨を骨折。以来、手術で入れたプレートの破損や損傷箇所の細菌感染などで手術を繰り返し、長期の治療とリハビリを行ってきた。昨年、曲がってついてしまった骨を矯正するために4度目の手術を行い、シーズン後半にほぼ万全の状態で復帰したが、今度はホンダのマシンの戦闘力の低さに苦戦を強いられていた。
身体の復調あってこその決断
マルケスは、今回の決断について、こうも語っている。
「この4年間、復帰しては転んで怪我をするということが多かった。でも、怪我をして苦しいときには決断を下せないと思っていた。それはこれまで自分で学んできたことであり、我慢のときだった」
その間、低迷が続くRC213Vについてホンダと多くの話し合いの場を持ったが、なかなかバイクは良くならなかった。特にこの数年は攻めれば転倒するという厳しい状況が続いた。それはマルケスだけではなく、チームメートのジョアン・ミルも同じだった。