――当時のトレヴィーゾはセリエAで優勝しただけでなく、コッパイタリアでも準優勝してCEVカップも制覇した欧州バレーボール界のトップクラブでした。その現場でじょじょにプロの文化に慣れていく中、日本のバレーボール界との距離を感じる不安はありましたか。

加藤　僕自身は子供の頃からトップの環境でやりたいという思いがずっとあったんです。バレーを始めたのは中学からですが中学から高校、高校から大学、つねに高いレベルでやりたいという向上心をもってずっとバレーボールをやってきた。Vリーグで活躍してナショナルチームにも選ばれるようになった。その上を目指すには、もう世界に出るしかなかった。（イタリア移籍後に日本代表の）規約が変わって、海外クラブに所属していてもナショナルチームに選抜されるようになって本当によかったと思います。

　トレヴィーゾでのシーズンを終えた後、ギリシャのクラブ「PAOK」に移籍を決めて、2003年の秋にワールドカップのために一旦日本に帰国したんです。大会の後、ギリシャに戻ったら「クラブのスポンサーがなくなって給料払えない」と言われました（笑）。それまで現地ではずっとホテル暮らしで、大会が終わる頃には家を用意しておくからと言われていて、いざ大会から帰ってきたら家はないわ、給料はないわでどうしようと。そこで幸いにも、フランスのクラブに移籍先を見つけることができたんです。

2003年に日本代表に復帰し、キャプテンに就任した加藤陽一。翌年新天地に選んだアラゴ・デ・セテ（フランス）で、現代表監督のフィリップ・ブランと出会う　©︎Panoramic/AFLO

（続く）

◇　◇　◇　◇

第3回ではフランスで出会った日本代表ブラン監督とのエピソード、そして急成長を遂げる今の日本バレーへの思いを明かしている。