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藤井聡太と“神の一手”「評価値6%→96%の大逆転」「36分の一手=AIで1時間超解析して“ほぼ最善”」タイトル経験・対戦棋士が脱帽の理由
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/10/14 06:01
藤井聡太八冠の将棋で“恐るべき一手”を、棋士たちはどう見たか?
序盤に9筋に桂馬を跳ね、飛車が8筋に転回するなど圧倒的な指し回しを見せる中で、特に「これは……」と思った一手は73手目、36分を使って選択した「8六玉」だった。
AIが1時間以上かけても「ほぼ最善手」
高見は自身のPCで見直して出た結果の衝撃を、こう語っている。
「これをコンピューターで検討してみると、最善手の1、2番手に上がってくる手でした。さらに驚いたのは——それぞれのコンピューターの性能にはよりますが——私が使っているコンピューターが自動的に思考を終了するまで、1時間以上はかかったかな? それだけの時間をかけても『ほぼ最善手』だったんです」
自玉を動かす選択自体が最善手であること、加えて36分という時間でこの手を指せたこと。その2点に高見は驚きを隠せなかったそうだ。
なお高見は「藤井さんの存在によって、自分がさらに成長するきっかけをもらえたと思っています」と折に触れて語っている。各棋士が自らの将棋を進化させるための契機を、藤井将棋が作っている側面もあるのだ。