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「タケはスペイン語どころかバスクの言葉も」スペイン人記者が久保建英22歳に本音で驚く“サッカーIQ”と…「品性、カリスマ性がある」
text by
ホセ・ルイス・ゲレーロJose Luis Guerrero
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/10/16 11:01
スペインのラ・リーガで9月の月間MVPに輝いた久保建英。その評価は、日本人が想像している以上に現地で高まっているようだ
昨シーズンにソシエダに加わったことが、大きな転機となったのは間違いない。伝統的に技術を重んじ、選手の成長をポジティブに促すクラブで、タケは同じく小柄な左利きのテクニシャン、ダビド・シルバと邂逅する幸運にも恵まれた。現在37歳のこの先達は今季開幕前に負った怪我の影響で現役を退いたが、共に過ごした1年間で久保が彼から得たものは大きいはずだ。
もっともシルバが22歳の頃と現在の久保を比較すると、甲乙つけ難いものがある。前者は2シーズンのローン期間を経て、バレンシアに帰還して2、3シーズン目の頃で、2007-08シーズンは全公式戦50試合に出場して、7得点11アシストを記録。コパ・デル・レイを主力として制している。
“師匠”シルバの同年齢時を超える可能性が
かたや久保は今季、前述した見事な記録を残しており、もしこのペースが続けば、数字の上ではシルバの同時期を大きく超えることになる。高い技術をそのままに、フィジカルと自信がさらに充実しているレフティなら、それも可能に思える。
シルバがより中央でチャンスメイクを担った一方、久保はサイドから仕掛けることを奨励されているとはいえ、この事実には驚く(いずれ久保も年齢を重ねていくうちに、中央を主戦場とするようになるかもしれないけれども)。
ただし、シルバはそのシーズン直後のEURO 2008をスペイン代表の主力として制しており、そこから始まるスペイン黄金期の中心的なメンバーのひとりだった。そんなレジェンドから、久保はさまざまな影響を受けたのではないだろうか。
タケはバスク語も自発的に話すように
もっとも、タケが受け身になって教えを請うたわけではないだろう。スペイン語を流暢に話す彼は、バスクの言葉も自発的に話すようにしている。
「Pixkanaka pixkanaka(ピスカナカ、ピスカナカ)」(バスク語で少しずつの意)と久保は自身のバスク語について言った。それから「xirimiri(シリミリ)」(ちょっとした雨)や、「arratsalde on(アラチャルデオン)」(こんにちは)といった言葉は日常でよく使っているという。
「ここの言葉はスペイン語と違います」とタケは話した。