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「人生で今が一番いいバスケができている」渡邊雄太(29歳)が“最高のタイミング”で巡り合ったビッグ3「これまでと違うNBA6年目の開幕」
posted2023/10/13 06:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
JIJI PRESS
「W杯での日本代表の試合前もオレンジを食べていましたよ」
フェニックス・サンズのロッカールームに入っていくと、食べかけのオレンジを手に持った渡邊雄太は笑顔でそう言いながら記者たちを迎えてくれた。
10月8日、サンズにとって今季初のオープン戦だったデトロイトでのピストンズ戦前のこと。ブルックリン・ネッツ時代からのルーティーンになっていた試合前のオレンジも、爽やかなスマイル、スムーズな語り口もこれまでとまったく変わらない。そういった変化のなさは長年取材してきたメディアも安心させるが、その一方で今季、渡邊の立ち位置はこれまでとはかなり大きく変わったようにも思える。
「本当にこの3人と同じチームでよかった」
ネッツからFAになった渡邊は昨オフ、サンズと2年500万ドル(約7億2000万円)の新契約を結んだ。ケビン・デュラント、デビン・ブッカーというスーパースターを擁し、さらにブラッドリー・ビールも加えて“ビッグ3”を完成させたチームに保証のある立場で新加入。昨季王者デンバー・ナゲッツの対抗馬になるであろう強豪を支えるサポーティングキャストの1人として、NBAで6年目の開幕を迎えようとしている。
「練習中、さっきはKD(デュラント)とマッチアップしていたと思ったら、次はブラッド(ビール)につかなければいけない。そうかと思えば次はブック(ブッカー)だとか、これは相手だったら嫌でしょうね。本当にこの3人と同じチームでよかったなと思っています(笑)」
1年前の今頃、ネッツに無保証契約で参加していた頃の渡邊はほぼ毎日のように練習でデュラントと対峙していた。それが今では3人合わせてオールスター選出19度のスタートリオと日常的に汗を流している。優勝を狙うサンズではチーム内の競争も厳しくなるが、やりがいのある環境であることは間違いない。