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引退した松田宣浩のナゾ「酒席は1人カウンターで…」「試合後は声ガラガラ」ソフトバンク記者が見た“意外な素顔”「プライベートは寒男です」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/07 11:00
プロ野球18年間の現役生活に幕を下ろした松田宣浩
「初めてフルイニング出場してリーグ優勝と日本一、そしてゴールデン・グラブ賞をもらった。ようやくプロ野球選手として頑張れるという思いが湧き出てきました」
酒席で見た。ひとりカウンターで…
それから、選手会長に就任した2014年にはペナントレース最終戦で、勝てば優勝、負ければ限りなくV逸が近づくという大一番でサヨナラ安打を放つ大仕事をやってのけてリーグ優勝と日本一の立役者に。そして2015年に「熱男」という言葉と出合い、そのシーズンはキャリア最多の35本塁打を放ってチームをリーグ連覇と連続日本一に導いた。
松田が中心選手にいた時期のソフトバンクは本当に強かった。
プレーで存在感を示すのが野球選手として一番大切なことに違いないのだが、松田の真価は成績だけでは表せない。熱男キャラ全開で、チームに明るさと活気をもたらす太陽のような存在。自チームではもちろん、WBCなど国際大会では侍ジャパンの太陽のような存在となっていた。
「野球選手なので、野球のときは元気を出して、あとは影を消すんです。このメリハリ。一日中元気を出すとバテてしまう。だから家に帰ったら静かにしています。プライベートは寒男です(笑)」
ずいぶん昔だが、松田とプライベートの酒席を一度、共にしたことがある。その時はソフトバンクのチーム決起集会の後で、他にも何人もの選手が一緒だった。みんながボックス席でワイワイやっていたのだが、ふとL字カウンターの隅っこに目をやると松田は静かに、1人でグラスを傾けていた。