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「ショウヘイと焼肉を食べた日が忘れられないな」大谷翔平と仲良しマーシュが語る“少年のように笑いあった日”「今はまだメッセージはしないよ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byAP/AFLO
posted2023/10/03 11:05
昨年夏にエンゼルスからトレードでフィリーズに移籍したブランドン・マーシュ(左)。今も大谷翔平へのリスペクトは変わらない
エンゼルスがフィラデルフィアに遠征して来た8月下旬、翔平と久々に顔を合わせることができた。フィラデルフィアで会った時、翔平はもうスタジアムを離れるバスに乗るところで、それほど長い話ができたわけではない。彼の状況を考え、長く引き止めたくなかった。それでも数分間、どうしているかとか、オフはどうだったとか、会うのは久々だったから、お互いの近況について話した。会えて本当に嬉しかったな。
その時の彼は気丈に振る舞っていたね。元気そうで、まだ戦う気持ちに満ち溢れていた。まだ確定はしていなかったのだろうけれど、その時点でおそらく自分が手術を受けなければいけないことはわかっていたと思う。だからその話はしなかったし、もちろんそれで構わなかった。たとえ腕が傷ついて投げれなくても、可能な限りDHで打者として出場し、得点を叩き出し、最後までチームを助けたいと考えていたのだろう。そのスピリットをリスペクトするしかないよ。
「サンドバル、一平、翔平と焼肉を食べた」
エンゼルスでチームメイトだったときは、翔平ととても親しくなれた。去年のシーズン中、コスタメサの焼肉屋に翔平と一緒に行った時のことは忘れられないな。僕、サンドバル、一平(水原一平通訳)、翔平の4人で焼肉を食べに行ったんだ。食事は美味しかったし、落ち着ける環境だった。その瞬間はベースボールのことは忘れ、友人同士として時間をシェアした。クールな1日だったな。4人がその時だけは少年のようになって、他愛もない話をして、笑いあったんだ。
なぜこうやって翔平と心を通わせられたのか? その理由がどこにあったのか確かなことは言えないけど、彼に会った初日から、僕は彼の言葉に耳を傾け、知恵を借りてきた。もちろん僕たちがよく似たプレイヤーだというわけじゃなく、レベルの違いが存在するのはわかっている(笑)。それでも同じ右投げ左打ちの選手として、彼が打席でどんな動きをするかをしっかりと観察したんだ。
僕は投手ではないから、その面は参考にはしなかったけど、打席の中での彼のユニークなスタンス、スイングを間近で見ようと努めた。彼がメジャーリーグという最高級の世界においてやり遂げていることは本当に印象的で、あれだけのことができる選手はほとんどいない。だから出会った直後から、一平を通じて彼に多くの質問を投げかけ、その言葉を参考にしてきた。