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「ボールを持つと人が変わる」“シャイな爆速ウイング”ジョネ・ナイカブラの愛され秘話…“無印”だった留学生がラグビー日本代表になるまで 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/09/28 17:08

「ボールを持つと人が変わる」“シャイな爆速ウイング”ジョネ・ナイカブラの愛され秘話…“無印”だった留学生がラグビー日本代表になるまで<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

チリ戦、イングランド戦に続き、サモア戦の先発メンバーにも名を連ねたジョネ・ナイカブラ(29歳)。摂南大学時代は無名に近い存在だった

「助言やサポートをしたくなる」ジョネの魅力

 W杯へ向かう前に、望月はジョネに連絡を取っている。アドバイスや激励ではなく、叱咤に近いものだった。その理由がシャイなジョネらしい。

「7月のトンガ戦後にテレビのインタビューを受けたときに、全部英語で喋ったんですね。日本語が喋れるのに何をやってるんだと思って、次にインタビューを受けるときは、最初と最後だけでいいから日本語を喋ったほうがいい、と。日本語で喋ることでファンの人はジョネに愛着を持ってくれるし、もっとファンが増えるよ、と伝えたんです。そしたら次のフィジー戦でまたインタビューを受けまして。ムチャクチャしんどそうだったので僕の言ったことは忘れているかなと思ったら、インタビュアーの質問を通訳の人が訳そうとしたときに、ジョネがちょっと待ってくださいと制して、『今日はみなさん、応援に来てくれてありがとうございました』と日本語で話して、最後も『また応援よろしくお願いします』と日本語で言ったんです」

 実は望月だけでなく河瀬らからも、日本語で対応したほうがいいとの指摘がジョネに入っていた。真っ直ぐでピュアな人柄が、たくさんの人を惹きつけている。

「自分でそうだなと納得したり気づいたりしたことを、ちゃんと実行できる。それが、ラグビー選手としてはもちろん人間としても彼の魅力なんです。助言やサポートをしたくなるんですよね」

 無印に近い存在から国内トップレベルのステージへ引き上げられ、ついには日本代表としてW杯に出場するまでになった。フィジー出身のシャイな29歳が紡ぐストーリーは、まだまだクライマックスを迎えていない。

(文中敬称略。取材協力:東芝ブレイブルーパス東京)

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