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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「あなたがスカウトなら誰を指名する?」大学“ドラフト上位候補”に聞いてみた…逸材たちが自ら選んだ「ドラ1」は?《野手に聞いた編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/28 17:01
逸材ぞろいの今年の大学生ドラフト候補たち。実際に同じフィールドで戦った彼らが選んだ独自の「ドラ1候補」は…?
【上武大】進藤勇也捕手(182cm90kg・右投右打・筑陽学園高)
◆上武大・進藤勇也捕手(182cm90kg・右投右打・筑陽学園高)の場合
「ジャパンで受けてみて、いちばんびっくりしたのは、武内(國學院大)です。ミットに突き刺さるっていうんですか、捕球点でミットが押し返されるような速球の強さにはほんとに驚いた。強さと高さと角度があって、自分もジャパンでたくさんの投手のボールを受けましたけど、初めて見た速球の質ですね。それと、ツーシームは左打者の内角に食い込むというよりは刺さるような変化。上武大にはいないのであまり要求しなかったら、武内のほうからサインに首を振って『投げさせろ』って主張してくる。我の強さ、自信満々。『投手だなぁ』って思いました。
それといちばん感心したのは、大阪商業大の上田(大河・投手・182cm86kg・右投右打・大商大高)。速球と同じ腕の振りから80キロのカーブには、思わず構えた膝を突いて前のめりになって捕球したほど。あれは打者がタイミングを合わせられない。自分で打者との間合い計ってタイミングを外したり、モーションに変化つけたり……自分で考えながら打者を打ち取ることができるピッチャーなんですよ」
さすが学生球界No.1捕手といわれる進藤捕手の洞察力。そして、もう一人のサウスポーの名前を挙げてくれた。
「東洋大の細野(晴希・180cm85kg・左投左打・東亜学園高)も挙げていいですか?(もちろんですとも!)。やっぱり左腕で158キロっていうのは、文句なしにすごい。コントロールはちょっとアバウトなところあるんですが」
そのせいか東洋大の捕手はリーグ戦で誰がマスクをかぶっても、細野と組むとなかなか内角に構えなかった。
ところが昨年12月の大学侍ジャパンの選考合宿(松山・坊っちゃんスタジアム)の紅白戦で、進藤捕手がいきなり右打者の膝元に構えたから驚いた。
私の知る限り細野投手とバッテリーを組んで、打者の内角に構えたのは進藤捕手が最初の一人だった。
「そうなんです。東洋(大)のキャッチャーが内角に構えないっていうのは、なんとなく聞こえていたんですが、自分としてはあまり深く考えないで内角に構えたら、そこに投げられたんで、細野。チェンジになってから『初めて内角に構えてくれた』って言われて、やっぱりそうだったんだって。細野にとっては出来なかったことが出来たんだから、よかったのかなと思いましたけど」