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「夫はラグビー山田章仁」 遠征、合宿、すれ違い…妻・ローラさんが“それでも結婚を決めたワケ”「選手として生きるのはとても短い期間ですし…」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by提供:山田ローラさん
posted2023/09/28 17:03
2015年に当時ラグビー日本代表だった山田章仁と結婚し、現在は4児の母でもある山田ローラさん
多忙な2人…連絡も噛み合わなかった
――遠征や合宿で各国を飛び回る章仁選手と、モデルとして活躍していたローラさん。それぞれ多忙な日々を送るなかでどのように親交を深めていったのでしょうか?
ローラ 出会った当初はシーズンオフで、彼もまだ代表に選ばれていない時期だったので、合宿に行く前の2週間は、毎日バイト先から自宅まで送ってくれたんです。色々と話を重ねていくうちに「こういう人と一緒にいられたら面白いだろうな」と感じるようになって。
ただ、その後は彼も忙しくなり、なかなか会うことはできませんでした。当時の代表チームのエディー・ジョーンズ監督はスケジュールを密に組むタイプで、朝起きてから寝るまで予定がびっしりと詰め込まれていたようで。お昼寝の時間まで細かく決められているので、自由時間もほとんどなかったそうですね。でも私もモデルの仕事が軌道に乗り、かなり忙しくしていたので「寂しい」という思いはあまりなかったかもしれません。
――自由時間も少ないとなると、連絡を取ることすら難しそうですね……。
ローラ 当時はお互いに噛み合わない連絡ばかりでしたね。「練習終わりました」「これから撮影です」と報告しあうだけ(笑)。W杯近くの彼は文字を打つ気力すらなかったようで、朝にその日のスケジュールの写真だけ送られてくるんです。私はラグビー協会のホームページに載っている代表合宿の写真から彼の姿を探して、「よかった。今日も生きてる」って安心していました。
「ラグビー選手として生きるのはとても短い期間」
――結婚するにあたって、生活がすれ違い気持ちが離れていく不安はありませんでしたか?
ローラ 出会った当初から常にいないのが当たり前で、でも気持ちは近くにあると感じさせてくれる存在だったので、そこまで深く考えることはなかったですね。人生の長いスパンで捉えれば、ラグビー選手として生きるのはとても短い期間ですし、その濃密なひとときを全力で応援してあげるのがベストかなって。私も当時はフットワークが軽かったので、「今から1時間空いたからお茶しよ!」って言われたら、すぐに「オーケー!」って電車に飛び乗っていましたから。でも、全然苦じゃなかったんです。
――海外遠征や移籍が多いラグビー選手と結婚することで、自身のキャリアを組み立てるのが難しいと感じることは?
ローラ 小さい頃から日本とアメリカを行き来する引っ越しが多かったので、ロングスパンで目標を立てる習慣がなかったんです。もともとは大学卒業後にそのままアメリカで就職するつもりでしたが、いつの間にか日本でモデルの仕事に進んでいましたから。たまたま私の世界を転々とするライフスタイルと、海外遠征で飛び回る彼のラグビー人生がマッチしたんですよね。私も海外を渡り歩くのは好きですし、インターネットを通じてどこでも仕事ができるようになって、時代とこの生活がいいタイミングで合ってくれたと思っています。