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「いっつもしんどいですよ。本当に」中嶋聡監督の手腕に見たオリックス“3年目の進化”…やりくり上手な「令和の名将」が鉄仮面に隠す愛情と確信
posted2023/09/22 11:06
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
JIJI PRESS
2位ロッテに14.5ゲーム差をつけてのパ・リーグ3連覇。
その圧倒的な響きとは対照的に、オリックス・中嶋聡監督の苦悶の表情が印象に残ったペナントレースだった。今年はベンチ内でのマスク着用がなくなり、表情がよく見えるようになったせいもあるが、「いっつもしんどいですよ。本当に。歳重ねてきたし」と指揮官は苦笑した。
だが確実に、選手の成長を感じている。
就任3年目の「変化」
監督就任1年目だった2021年は、これと見込んだ選手を、たとえ打てなくても、ミスをしても、ひたすら我慢強く使い続けた。それにより、杉本裕太郎や紅林弘太郎、宗佑磨といった選手たちが開花し、25年ぶりのリーグ優勝が実現した。
だが3年目の今年は、誰であろうと調子が悪ければ二軍に落とし、状態のいい選手を使った。
その理由を指揮官はこう語る。
「(1年目は)2年連続の最下位からスタートしたチームだったので、何を変えていくかと考えた時に、我慢してでも中心になる選手を使うというのは決めていましたから、その点では我慢しました。でもだんだん競争相手が出てきた時にはもう、我慢というよりも、そこは競争なので。そういう点で、(競争できる選手が)出てきているのかなと思うんですけどね」
過去2年間ショートのレギュラーだった紅林は、今年の開幕を二軍で迎えた。
「キャンプの時から紅林を見ていて、『今年ちょっとキツイかな』と思っていましたが、実際全然上がってこなかったので。そのかわり、野口(智哉)が今年の最初は非常によかった。もちろんそうなれば競争になります」