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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「ショウヘイはどんなところに住んでるの?」大谷翔平に興味津々のアメリカ人女性、妻を亡くした男性ファン…現地で「オオタニ知ってる?」を尋ねる旅
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2023/09/21 11:05
アメリカ人に現地で尋ねてみた。「あなたはショウヘイ・オオタニを知っていますか?」
妻を亡くした“ある大谷ファン”のエッセイ
かつてニューヨークに住んでいたときも思ったが、ここでは野球に限らずあらゆる競技の情報は興味のない人には届かない。されど興味のある人には、深く、届く。
そのことを教えてくれたのは、この旅に出発する前に読んだ、米国人野球ファンのエッセイだった。スポーツファンによるブログサイト「Fansided」でジェフ・ペリーさんという方が5月に投稿。36歳だった妻に突然先立たれ、悲しみに暮れながらも事務手続きをこなさなければならない日々がつづられていた。あるとき、妻のスマホでグーグル検索をしようとしたとき、過去の検索履歴の中に「Shohei Ohtani」が出てきたという。野球の大ファンというわけではなかった生前の妻に対して、ペリーさんは毎日のように大谷がいかにすごい選手であるかを一方的に話していた。妻が聞いているかどうかはわからなかったが、亡くなった後に、実はしっかり聞いていたのだということを妻は教えてくれたと、ペリーさんは振り返っている。
そのエッセイにあまりに心を打たれたので、いろいろなSNSでペリーさんを探してみたが、同姓同名のアカウントが多すぎて見つけられなかった。ただ、エッセイの内容から東海岸に住んでいるだろうということは見当がついた。もしかしたらメッツの本拠地シティフィールドで行われるエンゼルス戦の観戦に来ているかもしれない。だからといって探せるわけはないのだが、試合当日に球場のコンコースをひたすら歩き回ってみた。大谷がファンに与えている、本当の価値を考えながら……。
「オオタニ知ってる?」質問で見えた土地柄
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アメリカにはいろいろな大谷ファンがいた。日本人も多かったが、大谷のユニホームやTシャツを着ているアメリカ人も多かった。
その日、大谷が申告敬遠で歩かされたとき、メッツのユニホームを着た3歳か4歳くらいの白人の男の子が必死に何度もブーイングをしていた。メッツファンの親に連れてこられたであろうその男の子の一生懸命さに、しばらく目を奪われた。
今回訪れたのは東海岸と西海岸のみ。サッカー人気が高まるサンフランシスコと、その歴史からいまだ野球熱が高いニューヨーク。「ショウヘイ・オオタニを知っていますか?」を尋ねる旅は、図らずも、その土地柄を教えてくれたように思う。
〈#1「サンフランシスコ編」からつづく〉