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「うわっ、やられた…」ラグビーW杯、フランス現地記者ヤバい宿泊トラブル《オーナーが突然バックれ、11万円返金不可かも》列車も1時間遅れで…
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/09/19 17:37
9月17日のイングランド戦で。現地取材班の宿泊トラブルはその2日前に起こった
ふたりが手分けして、金曜と土曜を1セット、そして日本戦のあとはお互い速攻で作業しなければならないので、日曜、月曜とニース市内に2泊することにした。
インターネット予約サイトのなんとありがたいことか。宿無し取材部隊は、自力でなんとかその夜のねぐらを見つけたのである。
しかし、今度はマルセイユ行きの列車が終着駅を前にして止まってしまった。
遅延。おかげで、遅延というフランス語を覚えてちまったぜ。Retardでござる。
何度か車内アナウンスがあるが、フランス語で説明されるので、なにを言っているのか分からない。ただし、滞在1週間で少し耳が慣れてきたせいか、「止まっているんですが、安全のためにドアは開けないでね。分かってるわよね」と言ってる感じがする。
ただし、原因が分からない。同じ車内にウェールズ人の家族がいたので、その人たちの会話に耳を澄ますと、”Personal accident“という単語が聞こえた。
うん? 東京西部、中央線ユーザーにはピンときた。
人身事故ではないか?
列車はうんともすんとも言わず、時間を重ねていく。すでに30分は遅れている。困るのは、マルセイユで乗り換えてニースまで行くので、乗り継ぎ列車に間に合わなくなることだ。
そうなったら、日本の「EX予約」のように、即座に「乗変」はできるのだろうか? また、頭を回転させなければいけないのかと思っていたところ、Mくんのアプリに情報が入る。
「大丈夫です! ニース行きも遅延です!」
遅延×遅延=間に合う。
宿無しという難関を突破したわれわれには、怖いものがなくなっていた。ハイ状態になり、「なんとかなる」となにかを信じる境地に達していた。
「地べたの二人」
そして映画「フレンチ・コネクション」の街、1時間5分遅れてマルセイユに到着する。