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高橋藍「地上波ゴールデンはモチベーションが上がる」躍進男子バレーの“中心”にいる22歳が初めての“五輪予選”へ「今は勝てる自信がある」
text by
高橋藍Ran Takahashi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/09/19 17:15
日本代表として結果を積み重ねることで着実に自信を深めている高橋藍(22歳)。パリ五輪予選への意気込みを語った
まず相手のサーブを自分がサーブレシーブするか、しないかと判断するのが第1段階です。自分がレシーブしない場合は、パスがどこに返ったかを見て、セッターの位置を頭に入れ、自分との距離感を測りながら、どんなタイミングやスピードで入るか、どんなトスを求めるかを考える。(セッターとの)コンビに不安はないので、攻撃への準備に入るのと同時に相手コートに目を移し、相手ブロッカーの状況を確認しています。サイドブロックだけでなく、ミドルが来ているか、来ないのか。その有無でスパイクの幅が大きく変わってくるので、相手のブロッカーはしっかり見ていますね。
サインが出た段階で「ここに打とう」と決めてはいますが、自分が打とうと思った場所にブロッカーがいる場合は、ブロックをよけて人がいないコースを狙ったり、ブロックに当てて飛ばす。すべて瞬時の判断ですが、プレーしている時はその流れが自然にできているので混乱することはありません。
――攻撃力の向上を感じる一番の要素は、スピードが上がった? それともジャンプの高さ?
ジャンプ力が上がり、空中での景色が変わったことも大きな要素ではありますが、それ以上に大きいのはスイングスピードが上がったことです。相手のブロックが完成する前に打てるようになりました。もともと僕はクロスのスパイクが得意なので、ブロックにかからず、得意なコースへ打てるし、決まる確率が上がった。ノータッチで決まった瞬間は相当、気持ちいいです。
――空中にいる時から「決まった」と見えている?
見えています。着地する前に「よっしゃ!決まった!」とわかりますね。
――そこで少し派手なガッツポーズをしてやろう、とは考えない?
着く前に? すぐ着地なんで……そこは少し時間が欲しいです(笑)。
それだけ技術があるとバレーボール、楽しいですよね?
――アタックの進化はもちろんですが、高橋選手といえばやはりサーブレシーブ。これほどサーブが強化され、駆け引きもある中で崩れない。高橋選手のようなアウトサイドヒッターの選手は当然相手からサーブで狙われますが、それだけ技術があるとバレーボール、楽しいですよね?
楽しいです(笑)。確かにサーブレシーブが苦手という人は多いし、実際、近距離から打たれるスパイクよりも、エンドラインから打ってくるサーブはレシーブするまでに距離があるから変化もするし、難しい。バレーボールの中ではストレスもかかるプレーであるのは確かです。
でも僕は逆に狙ってきてくれたら「ありがとう」という気持ちですね。むしろサーブレシーブをしてからのほうが攻撃に入りやすいし、もともと石川選手の負担を減らして攻撃に集中できるように山本(智大/リベロ)選手と僕が範囲を広く見ているので、できるだけ多く取りたい。相手からすればリベロは狙わないから、基本的に石川選手か僕を狙いますよね。チームとしても、個人としても僕を狙ってくれたほうがありがたいです。
――高橋選手のサーブレシーブを見て「日本にはリベロが2人いる」と評する人もいます。最近はさらに質が上がったように感じますが、何か変化はあるのでしょうか。
正直に言うと、僕はサーブレシーブに対して深く考えないようにしているんです。もともとサーブレシーブは自分の強みとして持っているんですけど、考えすぎて返らなくなってしまったことがあって。
――それはいつ頃?