日本代表に入った頃です。それまでサーブレシーブに関してはほとんど言われることがなかったのに、少し乱れただけで「1本目が崩れると日本は何もできなくなるぞ」と指摘されていました。いい意味でのプレッシャーがかけられた状況でしたが、常に緊張感がありましたね。練習中から少しでも崩れると「パスからだぞ」と言われることが最初はストレスだったし、頭で考えてしまってサーブレシーブに自信を持てなくなったんです。こうしたほうがいいかな、ああしたほうがいいかな、と考えたけれど答えが出ない。最終的に自分の感覚でやったほうがしっくりくる、と余計なことを考えなくなってから今のスタイルにたどりつきました。

――あえて考えないようにした、と。

何を言われても聞かなくなったのかもしれません（笑）。特に（フィリップ・）ブラン監督は世界一、サーブレシーブに厳しいので、少し乱れるだけですぐ指摘されるんです。ただ、それは日本が勝つために絶対必要な部分なので、厳しく言われるのも仕方がない。全員理解しているから、それぞれの選手がやるべきことを見失わずにいられるんだと思います。

――納得しているから、厳しい要求もクリアできる。

そうですね。ただ何度も言いますけど、ブラン監督はめっちゃ厳しいです。しかも、石川選手には言わない（笑）。石川選手も感覚をつかみたい時に試合中や練習中に「ここ1本（レシーブ）取らせて」と言うことがあって、山本選手と僕が3枚で入るシフトにして石川選手がレシーブしてもらう。でも、そこでちょっとでも乱れたら僕と山本選手がブラン監督に呼ばれて「何でユウキに取らせるんだ！」と叱られるんです。いやいや、俺たちが悪いんかいって思いますよ（笑）。でも、サーブレシーブが崩れると勝てないということは監督の言う通りですし、今は確実にサーブが強いチームが勝つ。そこに打ち克って行くためには、自分がサーブレシーブの軸とならないといけないと思っています。

©︎Kiichi Matsumoto

監督からの「大丈夫？」が嬉しかった

――見ている側からすると、高橋選手が取れなかったら「これは仕方ない。素晴らしいサーブだった」と開き直れます。それぐらい安定感、安心感があります。

基本的にあまり乱れることがないですからね。チームの中でもそう思ってもらえていて、VNLのイタリア戦（3位決定戦）で少しパスの調子が悪く、一度交代させられた時にブラン監督から「大丈夫か？」と心配されました。うまくいかない時に心配されるのは、それだけ期待値が高く、チームに欠かせない、大事なものだと思われている証なので、自分としても嬉しいです。

3位決定戦でイタリアに勝利し、ブラン監督と抱き合う高橋藍　©︎FIVB

――相手チームからすれば、それだけ安定した選手を何とかして動揺させたい、プレッシャーをかけたいと思いますよね。そういう意味で、アジア選手権（8/19〜26）のイランでのアウェイの戦いは貴重な経験になったのではないでしょうか？

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