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「力をつけないと突破は見えない」薄氷の五輪最終予選進出に悔し涙の選手も…「負けに等しいドロー」がU-22日本に突き付けた教訓
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKyodo News
posted2023/09/13 18:00
来年4月のU23アジア杯本戦の出場権を手に入れたU-22日本代表。ただしバーレーン戦の試合運びには大きな課題が残ったようだ
「自分たちはボールを持てていて、前半、特にサイドからチャンスを作れていたので、そういったところで決め切れていればよかった」とアンカーの藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)は悔やんだが、決めるべきときに決めないと苦しくなるのは、サッカーの常である。
問題は、相手が急に牙を剥いてきた81分以降だった
バーレーンの堅守をこじ開けるべく、ハーフタイムに日本のベンチが動く。
左ウイングの斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)に代えて鈴木唯人(ブレンビー)を投入。鈴木をシャドーの位置に置き、4-3-3から3-4-3へとフォーメーションを変えた。大岩剛監督が狙いを明かす。
「我々の強みのひとつは、セカンドボールを回収したあとの素早い攻撃。システム上のミスマッチによって光毅が後ろでプレーすることが多かったので、守備の立ち位置を整理し、スペースがある中で唯人の推進力やスピードを生かしたかった」
73分にはその鈴木のシュートがポストを叩き、74分には西尾隆矢(セレッソ大阪)のドンピシャヘッドがわずかに枠を逸れる。84分にはストライカーの藤尾翔太(FC町田ゼルビア)が投入され、決勝ゴールを狙いにいく。
……と、問題はここからだ。
勝つしかないバーレーンも81分に攻撃の選手ふたりを投入し、攻めの姿勢を強めてきた。さらに、90+1分には10番を背負う左利きのテクニシャンもピッチに送り込む。
すると突然、牙を剥いたバーレーンに面食らったのか、日本の守備陣がバタバタし始めた。86分に大畑歩夢(浦和レッズ)がペナルティエリア付近でファウルを犯したのを皮切りに、91分、92分、95分、97分と連続してフリーキック、コーナーキックを与え、ゴール前にボールを放り込まれてしまうのだ。
ラスト10分に勝負をかける――。おそらく、これがバーレーンのプランだったに違いない。危うく術中にハマるところだったが、藤田がヘディングで跳ね返し、GKの鈴木彩艶がパンチングで逃れ、なんとか体を張って守り抜いた。
3カ月前にも国際大会で似たシチュエーションがあった
終盤のゲームプランについて、藤田はこんなふうに明かした。
「最後に関して、剛さん、自分、彩艶だったりで、『0-0でもいい』という話はしていましたけど、受け身になったら難しいと思ったので、みんなにはそんなに言わずに時間だけは考えながらやろうっていうふうに話していました」
その考えもわかるのだが、実は日本サッカー界はわずか3カ月前にも似たようなシチュエーションに遭遇している。