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「あのリトルマンはキラーだな」“175cmの名手”も“NBA関係者”もホレる22歳河村勇輝の伸びしろ「人生にとって大事な2週間だった」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2023/09/11 11:02
バスケW杯で大きなインパクトを残した河村勇輝(22歳)。ポイントガードとして、パリ五輪出場権獲得に貢献した
「世界の本当のトップレベルとの差っていうのを感じた試合でもあったし、やれる部分がたくさんあったとも思う。そのために自分が今何をしないといけないのかがわかった試合でもあったと思う。これからのバスケットボールキャリアにおいて、自分が成長できる大会になりました。この2週間だけではなくて、今後何をしないといけないのかっていうのがわかっただけで、僕の人生においてすごく大事な2週間だったと思います」
大会中はもちろん、大会前の強化試合も貴重な機会だった。スロベニアのスーパースター、ルカ・ドンチッチと対戦した後には、「すごかった。アンストッパブルなところがあった」と素直に脱帽したが、その一方で、「ファウルのもらい方だったり、スペーシングの取り方だったり、ピックへの対応だったり、マッチアップしていても学べるものはたくさんあった」と、間近で見たプレーから学ぼうという貪欲さを見せていた。ふだんから、よくNBAの試合を見ているという河村だが、画面越しに見るのと、実際にコート上でマッチアップして見るのとでは、感じることや、学べることはまた違う。
河村が“別格”と表現したMVPシュルーダー
大会5試合を戦った相手の中で、河村が「別格」と評したのは、初戦で対戦したドイツ代表のポイントガード、デニス・シュルーダーだ。その後、ドイツを大会初優勝に導き、MVPに選ばれた。
ディフェンスを得意とする河村だが、シュルーダーには、止めたと思っていたのにいつの間にか抜かれた場面があったのだという。初めての経験だった。
「(何がすごかったのかも)わからないです。本当に、止めたと思ったら、いつの間にかここにいたっていうことがあった。スピードだけではない、多分緩急のところだとは思うんですけど、あの感じは、いつかつかめればいいかなと」
それをコート上で体感できたことで、次にNBAの試合を見るときには、また違った視点で見ることもできる。
「シュルーダー選手とやれたことで、NBAでのシュルーダー選手を見て、NBAではどういうプレーしているんだろうっていうのがまた見えたらいいなって思いますし、対峙したことによってNBAの見方っていうのも変わってくると思う。こういう選手だったけど、NBAではこういうプレーしてんだなとか、こういうプレーしてたなとか。また何か見え方も変わってくるかなって思うと、すごく面白いです」と、ワクワクを抑えられないようだった。