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気温34度、前日合流9人…パリ五輪へ“過酷で難しい初戦”も6-0! 現地で聞いたU-22日本代表の証言「全部行くのではなく」「あれが自分の長所」 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byKyodo News

posted2023/09/07 17:20

気温34度、前日合流9人…パリ五輪へ“過酷で難しい初戦”も6-0! 現地で聞いたU-22日本代表の証言「全部行くのではなく」「あれが自分の長所」<Number Web> photograph by Kyodo News

大岩剛監督率いるU-22日本代表は、細谷真大の2ゴールなど6-0の大勝でパリ五輪切符獲得への第一歩を踏み出した

 細谷や三戸舜介(アルビレックス新潟)といった日本でプレーする選手は、暑さには体が慣れているものの、長距離移動と6時間の時差を強いられる。

 一方、藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)や内野貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)など、欧州クラブに所属する選手は時差が1時間しかないが、寒暖差に苦しめられる。

 しかも、試合までに時間がないうえに、予選初戦の独特な緊張感もつきまとう。

 難しい試合になりそうな要素は、ひとつやふたつではなかったのだ。

 その点で日本に有利に働いたのは、パキスタンが最終ラインからしっかりボールを繋ぎ、攻める意志を見せてきたことだろう。

「繋いできて、ハメに行ったら蹴ってくれて中途半端だったので、やりやすいところがあった」と左ウイングに入った斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)が振り返る。

「この暑さなので、あえて相手に持たせる時間も」

 さらに、早い段階で先制点が取れたのも大きかった。

 12分、山田楓喜(京都サンガF.C.)の右コーナーキックをゴール正面で鈴木海音(ジュビロ磐田)が右足で合わせ、ゴールネットを揺らした。

 鈴木海にとってはこれが嬉しい大岩ジャパン初ゴール。「ゴール前に入るところは練習でやっていた」と胸を張れば、斉藤も「あれで楽になりました。点が入ると、相手も諦めムードに入ったりするので、そこはよかったです」と、笑顔を見せた。

 キッカーを務めた山田は合宿初日の練習後、セットプレーのキックを何本も蹴っていた。入念な確認が本番で生きた形だ。

 その後、攻めあぐねた感もあったが、「この暑さなので、あえて相手に持たせる時間もあった。全部行くのではなく、うまく弾く守りもできた」というGK鈴木彩艶(シント・トロイデン)の言葉を聞くと、ゲームをコントロールした面もあったのだろう。前半終了間際には三戸と細谷の連続ゴールで、リードを3点に広げた。

久々の合流となった松木も「長所の飛び出し」で見せた

 疲労が溜まってくる後半に躍動したのは、右インサイドハーフで先発した松木である。1年3カ月ぶりにU-22日本代表に合流したU-20日本代表キャプテンは、中盤から飛び出して51分と60分にPKを連続して獲得。これを細谷と藤田が決めて、スコアを5-0とする。

「自分の長所は飛び出しだったり、スペースを見つけられるところ。その部分をうまく表現できたと思います」

 松木自身が振り返ったように、まさに真骨頂のプレーでチームに貢献してみせたわけだ。

 65分には、その松木のパスを受けた斉藤のクロスを三戸がゴール正面で合わせて6点目が入った。

【次ページ】 快勝スタートの中、予想外の出来事とは

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大岩剛
鈴木海音
細谷真大
松木玖生
木村誠二
野澤大志ブランドン
三戸舜介
藤田譲瑠チマ
内野貴史
斉藤光毅
山田楓喜
鈴木彩艶
鈴木唯人
山本理仁
小田裕太郎
藤尾翔太
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