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久保建英2ゴールでソシエダスタッフ「なんて日だ!」“動画には映らない”タケの喜怒哀楽…ナゾの“16メッセージ”は本人談「ヒミツです」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/09/06 11:01
スペインで自身初となる1試合2ゴールを叩き込んだ久保建英。文句なしの4戦連続MOMで日本代表へと合流した
9月2日、この日のサンセバスチャンには雨、雷などの警報が出されていた。
ソシエダの今季初勝利をスタジアムで見ることができたのは、通常よりも少ない2万7000人ほどのサポーターだった。
すでに顔見知りとなっているメディア受付のスタッフからも「嫌な日だね、すごい雨だよ……」と挨拶を交わすほどだけに、致し方ないところか。
ただ、まだ暑さの残るこの時期、アジア時間を意識した現地14時のキックオフタイムには恵みの雨となっただろうか。
ブライスとのホットライン開通でいきなり攻略
アップに励む先発メンバーの中には、先発復帰したオヤルサバル、またアーセナルよりレンタル加入となったティアニーの姿があった。
対するグラナダは、降格した昨シーズン、リーガ2部で優勝し、1部に返り咲いており底力はある。今シーズンここまで1勝2敗、勝ち点3でソシエダと並んでいる。決して今のソシエダにとって容易い相手ではなかった。
それでも、ゲームが始まるとホームの後押しを受けてソシエダが相手を押し込む展開になった。その中で右サイドに開いた久保が起点となり、ブライス・メンデス、オヤルサバルとのコンビネーションで相手を圧倒した。
最初のチャンスは守備ラインの裏へ抜け出したブライスへの、久保からのパスだった。
そして前述した9分、今度はオフサイドラインギリギリを抜け出した久保のもとへ、ブライスから絶妙なパスが通る。久保は左足でボールをコントロールし、追い縋る守備者の前を横切るようにドリブルを進めると、ゴール正面から見てニアサイドを撃ち抜いた。
ゴールを決めた久保は、ブライスの元へ駆け寄ると先制点を喜び合った。
チーム全体での歓喜がひと段落すると、そっとリストバンドから“16”と書かれた紙片を掲げ、カメラの向こうで見つめる誰かにメッセージを届けた。
謎を呼ぶセレブレーションだったが、試合後には「秘密です。その人には伝わったはず」と答えている。
OGで同点の嫌なムードをかき消したのも久保だった
先制点で勢いに乗ると、ソシエダが相手を押し込む時間が長く続いた。
しかし追加点を奪えずにいると35分、CKの混戦からオウンゴールを献上してしまう。繰り返される前節までと同じ展開に肩を落とすメンバー、そしてスタンドにも嫌な空気が漂った。
ただそんなムードも――久保の2点目で一掃された。