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「パリ五輪出場決定」でも河村勇輝が感情を爆発させないワケは?…バスケW杯で世界が注目“身長172cmの司令塔”の見据える先
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byFIBA
posted2023/09/03 18:00
チーム最年少ながら随所での活躍を見せた22歳の河村。大舞台での急成長はなぜ生まれた…?
河村は高校3年の冬にBリーグのインターン制度にあたる特別指定選手制度を使って当時の最年少でBリーグにデビューした。その後、東海大学に進むものの、今から1年半前、大学2年の終わりに大学を中退して、横浜ビー・コルセアーズでプロになることを決断。昨シーズンはBリーグでMVPなど、数々のタイトルを総なめにして今に至る。
彼がプロ入りを決めた大きな理由の1つが、「パリ五輪に出場すること」だった。
プロになることを決断したときにはまだ日本代表にもなっていなかった。だが、大学中退を決める理由を話したとき、尊敬する両親からはこう言われた。
「そんなに甘い世界ではないけど、自分で自分の決断に責任を取れるなら」
河村はそのときのことをこう振り返る。
「すごく厳しい言葉ではありましたけど、それはやはり愛情があってのことなので。そこは逆に、背中を押されたなと僕は思っています」
そこからはパリ五輪に出場するという約束を果たすことが、大学中退を認めてプロの世界へ快く送り出してくれた両親や、東海大学の陸川章監督を含めた周囲の人たちへの「恩返しになる」と思い、歯を食いしばって戦ってきた。パリ五輪の出場権をつかめたことは河村にとってもそれだけ大きなことなのだ。
それでも、なお喜びを爆発させなかった理由は何故なのか。
「パリ五輪出場決定」…でも河村が感情を爆発させなかったワケ
「なんでですかね。もちろん、フィンランド戦も、カーボベルデ戦も、チームとしてはすごく嬉しい勝利だったんですよ! ただ、個人としては、上手くいったこともあったけど、上手くいかなかったこともたくさんあるので。チームとしては、すごく喜ばしいですけど、個人としては『まだまだ、色々なことをやらないといけないなぁ』という気持ちなのか……」
あえて挙げるとすれば、自分の課題が見つかったからだろう。
「ゲームのコントロールの部分、不用意なターンオーバーをしたことや、シュートセレクションのところ。そして、スピードが通用しなかったときにどう打開するのか。そういったところも含めて、見えたところはたくさんあったと思うので」