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藤井聡太七冠「面白い将棋で」八冠か、「相性の良い陣屋」で衝撃のWカレー→先勝の永瀬拓矢“名誉王座”か…観る将マンガ家が描いた!
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/Takuya Sugiyama
posted2023/09/01 11:05
8月の将棋ハイライト。各月のイラストは関連記事からご覧になれます!
研究会を積み重ねてきたおふたりということもあって、お互いが棋力を「引き上げられてきた」存在と語ってもいるとのこと。
その永瀬王座相手に勝利し、竜王戦挑戦者をつかみ取ったのは――20歳の伊藤匠新七段です!
7月31日と8月14日に行われた挑戦者決定三番勝負で伊藤七段は永瀬王座に連勝し、藤井竜王が待つ檜舞台へとたどり着きました。2002年生まれである同学年の2人は、小学3年生の時の対局で“伊藤くんが勝利して藤井くんが泣いた”というエピソードが有名です。その2人が棋界最高峰の竜王戦の舞台で相まみえる、というのはドラマ性を感じます。
第1局開始時で2人の年齢を合わせたら「41歳」というのを、39歳の渡辺明九段がSNSで触れていたのもツボでしたが(笑)、どんな新世代の戦いを見せるか!
2)様々な棋士から見えるドラマ
藤井七冠と相まみえる棋士や各タイトル戦からも、様々なドラマが見えてきます。
まずは佐々木大地七段です。ダブルタイトル戦で藤井七冠から奪取とならなかったものの、地元(長崎県対馬市)に近い佐賀県嬉野市での王位戦第4局は1勝して意地を見せる対局もありました。その勝利を見守っていたのは、仲良しで知られる師匠の深浦康市九段。2人の感想戦を奥で見つめる姿には、1人の棋士、そして人間としての成長を見守りたいという心情がジンと伝わるものでした。
王座戦で藤井七冠と相まみえる永瀬王座も、1つの敗戦の悔しさをこれでもかと味わった数カ月だったと推察されます。前述した伊藤七段との竜王戦だけでなく、佐々木大地七段との棋聖戦、菅井竜也八段との叡王戦と3連続で「挑戦者決定戦に進出しながらも敗退」という今期の流れになっています。それを糧に王座戦で“軍曹”ぶりを見せるのでは?とも。
女流タイトル戦も「里見香奈女流五冠―西山朋佳女流三冠」のゴールデンカードが熱戦となっています。清麗戦では8月に行われた第3局、第4局で里見女流五冠が連勝し、3勝1敗で清麗を防衛……という余韻に浸る間もなく、9月2日から白玲戦七番勝負が開幕します。こちらの頂上対決からも目が離せない!
3)羽生会長が早指し戦勝率100%…ってすごすぎ
棋界で起きている様々な出来事もご紹介しましょう。まずは王将戦リーグについて。8月30日に行われた2次予選決勝、渡辺九段が横山泰明七段に勝利したことで、秋から始まる王将戦リーグの顔ぶれが決定しました。