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“最後通告”の退寮、始発に乗り練習…万波中正が「メンバー外」から挑んだ、最後の夏 恩師が明かす「復活のホームラン」「金足農との激闘」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2023/08/23 06:01

“最後通告”の退寮、始発に乗り練習…万波中正が「メンバー外」から挑んだ、最後の夏 恩師が明かす「復活のホームラン」「金足農との激闘」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

横浜高校時代、「スーパー中学生」と鳴り物入りで入学したが、ベンチ入りも危うい時期があった万波。高校時代を恩師が振り返る

無理に型にはめてしまわなくて本当に良かった

「怪物」と呼ばれて歩み出した万波の高校野球は、苦しい時間の方が多かったかもしれない。3年連続で夏の甲子園に出場したが、打撃成績は2大会で計16打数3安打0打点6三振でホームランは0に終わっている。

 あの夏から5年。奇しくも吉田とともに入団した日本ハムで今、そのパワーが大きく花開きかけている。万波がプロ1年目の2019年の9月に横浜高監督の職を解かれた平田監督は、昨夏から新天地の彩星工科高校の指揮を執る。

「先月も神戸での日本ハム戦に応援に行ってきました。野球部にもボールを10ダース送ってくれたり、プロ入りしても中正は全く変わらないです。18歳で結果が出なくても、25歳から28歳くらいにピークを迎えられればいいと思って指導していましたが、今の活躍を見るとそれが正解だったなと思います。あの時に大人が頭ごなしにアプローチしたり、無理に型にはめてしまわなくて本当に良かった」

 涙で終わった最後の夏から堂々と道を切り拓き歩む教え子の姿を、眩しく、頼もしく見守っている。

<入学編もあわせてお読みください>

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「万波は終わった」と批判も…横浜高恩師が語る、万波中正が“伸び悩む怪物”だった頃「毎朝、電子レンジの前に立って…」

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