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「万波は終わった」と批判も…横浜高恩師が語る、万波中正が“伸び悩む怪物”だった頃「毎朝、電子レンジの前に立って…」

posted2023/08/23 06:00

 
「万波は終わった」と批判も…横浜高恩師が語る、万波中正が“伸び悩む怪物”だった頃「毎朝、電子レンジの前に立って…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今年、打っては19本塁打、守っては強肩からレーザービームを放つなど躍動するプロ5年目の万波。高校時代には知られざる苦闘があった

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Nanae Suzuki

 7月のオールスターゲームで最優秀選手賞(MVP)を獲得するなど、今季大ブレーク中の日本ハム・万波中正外野手。8月22日時点で、パ・リーグ2位の19本塁打を放ち、安打数(113)でも2位につけるなど、そのバッティングは破壊力を増している。覚醒した23歳の“原点”とは――。名門・横浜高校で過ごした高校球児時代を、当時の恩師で現在、兵庫県の彩星工科高校で指揮を執る平田徹監督に聞いた。〈全2回の#1/#2を読む〉

万波ネット

 横浜高校野球部の長浜グラウンドには、3つの「ネット」がある。

 1つ目はレフトにそびえる通称「ごっちゃんネット」。これは、1998年に松坂大輔と春夏連覇を果たした代のスラッガーで、西武などで活躍した後藤武敏(現楽天一軍打撃コーチ)の打球対策のために作られたものだ。2つ目は、ライト上部が5m高く張り出した「筒香ネット」。高校通算69発を誇った筒香嘉智(米ジャイアンツとマイナー契約)が在学中、場外弾による周辺住宅への“被害”を防ぐために改修された。そして最も新しい3つ目が、左中間に5m高く増設された「万波ネット」。2016年春、新入生の万波が放った驚異的な弾丸に度肝を抜かれた平田監督が、学校側に慌てて設置を依頼したものだ。

「1年生の打球が軽々とネットの上を越えていきましたから。これは大変なことになる。車も通るし、通学時間には小学生も歩いている。危険です、と慌てて学校に言いに行ったことを覚えていますね」

 平田監督は懐かしそうに目を細めた。

とんでもないものを引き受けてしまった

 強豪校の門をくぐった万波は、16歳にしてすでに「怪物」だった。中学時代は東練馬シニアで投手、外野手として活躍する一方、陸上部では砲丸投げで東京都1位となり「スーパー中学生」としてテレビ番組にも取り上げられていた。コンゴ出身の父から受け継いだ190cm、92kgの立派な体躯は、上級生の中に混じってもひと際目立った。

 入学当時、平田監督は就任1年目。勇退した名将・渡辺元智氏から、32歳の若さで重いバトンを受け継いだばかりだった。新生・横浜高に鳴り物入りで現れたスーパールーキーに、胸の高まりとともに緊張感も覚えていた。

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