甲子園の風BACK NUMBER
4エラーの仙台育英監督「奇跡みたいに1点しか…」“大阪桐蔭をねじ伏せた”履正社エースが号泣「共有したのに頭から消えた」ワンプレーとは
text by
間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/17 20:14
前年度優勝校の仙台育英に敗れ、肩を落とす履正社ナイン
試合前のミーティングで、仙台育英が勝負の1点をスクイズで取りにくる可能性を共有していたという。ただ――大阪大会決勝の大阪桐蔭戦で3安打完封し、最速150キロを超える福田の球威とカウントを考えて、スクイズの可能性は低いと読んでいた。
多田監督は「あの場面では、打って点を取りにくると思っていました」と話した。試合後のクールダウンで号泣した福田も「スクイズがくるとすれば、カウントが整ってからだと考えていました」と虚を突かれた。「仙台育英の打者はバットの芯に当てるのが上手い。相手投手の力を考えたら次の1点で試合が決まる」と仙台育英打線を警戒し、クリーンアップを任される尾形を抑えることに集中していた。
つまり、スクイズは頭から消えていた。
「理想的な展開で…やっぱり4点目ですよね」
大阪大会でライバルの大阪桐蔭を力でねじ伏せ、大阪代表として臨んだ夏の甲子園。履正社は連覇を目指す仙台育英と互角の戦いを演じた。
「守備もよく守りましたし、攻撃も走塁も積極的に仕掛けられたと思います。理想的な展開で試合を進められました。選手は力を出し切って良い試合をしてくれました。やっぱり4点目ですね」
多田監督はこう語った。日本一に不可欠なのは、相手にミスが出た時に一気に畳みかける隙のない野球――4点目の宿題を手に聖地を去った。
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