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「教えるとか、まったくありません」大谷翔平を支えたコーチが目撃した“凄まじさ”…当事者の証言「勝手に上達して、勝手に成長していました」
posted2023/08/24 11:03
text by
城石憲之Shiroishi Noriyuki
photograph by
JIJI PRESS
日本中が歓喜に沸いたWBC優勝から約5カ月。大会では栗山英樹監督と大谷翔平をはじめとする選手の信頼関係も話題を集めたが、その陰で大きな貢献をしたのが城石憲之コーチだ。日本ハム時代の“二刀流挑戦”を間近で支えた男が見た、大谷翔平の素顔とは? ワニブックス刊『世界一のベンチで起きたこと - 2023WBCで奔走したコーチの話 -』より、日本ハム時代のエピソードを抜粋して紹介します。(全2回の2回目/前編からの続き)
日本ハムからのオファーは“バッティングコーチ”
2014年、契約満了に伴いスワローズを退団した時点では、次のシーズンの身の振り方は決まっていませんでした。まだコーチとして確たるスキルがあるわけでもなく、先にオファーがあるといった立場ではありませんでした。
そんなとき、ファイターズ球団からコーチの打診がありました。当時のフロントに、僕が選手としてファイターズにいた頃、編成だった方がいて、声をかけていただきました。人とのつながりの大切さを感じました。
来たる2015年シーズン、ファイターズは栗山監督がチームを率いて4年目を迎えようとしていました。
僕へのオファーは、意外なことに「二軍のバッティングコーチとしてどうだ」というものでした。
僕の現役時代の強みは守備でしたし、自分自身、打撃を指導するイメージが湧かないのが正直なところでした。でも、コーチとしてやったことのない分野に挑戦できるのは、スキルアップのためにとてもいいことだと思い、喜んで受けることにしました。
実際、それまでのスタンスを大きく変えるのではなく、練習にとことん付き合う、やりたい練習ができるように手伝う、変化を観察して上達できるようフォローするといった「一緒にやろう」というアプローチで取り組んでいきました。
どのバッターも才能を見込まれて入団しているのですから、良いところを伸ばすのが最も大切なことだと思っていました。