- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
“ダルビッシュと互角に投げ合った”という看板が……甲子園史上に残る投手戦を演じたサウスポーの苦悩「主将になって血尿」「3年夏は中継ゲスト」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/08 11:03
2003年夏の甲子園3回戦、ダルビッシュ有を擁する東北高校にサヨナラ負けを喫した平安高校。2年生エース服部(写真)は大粒の涙を流して聖地を後にした
3月上旬は選手らの温度を知るために野球部寮に住み、その後、家族と共に神戸へやってきた。ダルビッシュが日本代表として世界と戦っていた時期だ。だから、その姿に背中を押された気持ちになった。
「色んなことを若いピッチャーにしっかり伝えて、それに若い選手もついていっている。ダルビッシュJAPANって言われているくらいチームをまとめられていたから、ああいう結果が出たと思いますよ。あの夏はたまたまの抽選の結果で同じブロックになって、ああやって投げ合えただけ。比べたらアカンですけれど、同級生として負けてられないです」
ドラ1候補右腕を擁するも準決勝敗退
4月1日付けで監督に着任した直後の春季大会では決勝まで進み、センバツ準優勝の報徳学園と1-2と互角の勝負を演じた。
ドラフト候補の最速149キロ右腕・坂井陽翔を擁し、夏の県大会も注目されたが、準決勝で明石商に1-2で惜敗し、就任1年目の甲子園出場は叶わなかった。
「兵庫県は良い投手が多いし、戦い方が難しいですね」
敗戦後、ため息をつくようにこう話した。学校数や再抽選の有無など京都と兵庫の高校野球事情は違う。だが、2度も頂の近くまで登りつめた経験は今後に必ず生きる。
「選手らも最後までよく戦ってくれました。坂井も最後までよく投げてくれましたしねこの夏は色んな方の力添えがあって、ここまで来られました」
激戦地・兵庫の夏を体感したことで、新たな闘志が湧いてきたことは間違いない。
球友のように、本気で勝負ができる舞台で新たな夢を追いかけ始めた2023年。舞台のスケールは違えど、目指すのは頂点のみだ。
「後悔しない戦いを、最後までさせてあげられるようにしたい」
37歳の若き指導者は、ぼんやり見える同級生のメジャーリーガーの背中を刺激にし、今日もノックバットを手に奮闘を続けている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。