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甲子園の風BACK NUMBER
“ダルビッシュと2年生対決” 20年前の甲子園で話題を独占した左腕は今…東北高から珠玉の17奪三振「でも、暑かったことしか記憶にない」
posted2023/08/08 11:02
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Asahi Shimbun
2023年3月。ダルビッシュ有はWBCの日本代表として日の丸を背負ってマウンドに立った。MLB12年目を迎えるベテランの経験は若い投手を刺激し、勇気を与え、侍投手陣の支柱として3度目の世界一に貢献した。
「(WBCは)全試合見ていましたよ。36歳になってバリバリのメジャーリーガーで、今もローテーションを守って投げている。僕は中学時代からの(ダルビッシュの)やんちゃな部分も知っていますから、(リーダー的存在になったことを)信じられない部分もあります(笑)」
その姿に胸を熱くしていたのが、服部大輔だ。20年前、2年生エース対決として甲子園のマウンドで投げ合いを演じた左腕である。
大きくなった体を揺すり、いたずらっぽく笑いながら、服部はかつての“球友”を自分なりの言葉で祝福した。
そんな服部もこの春、住み慣れた京都から住まいを神戸に移し、新たな生活のスタートラインに立とうとしていた。今年4月から、春夏で計7度の甲子園出場を誇る兵庫県の強豪・滝川二高の野球部監督に就任することになったのだ。2月に報道された際には、「ダルビッシュと投げ合った平安のエースが…」と再び脚光を浴びた。
「背番号1」の2年生エース対決
2003年8月20日、第85回全国高校野球選手権大会の3回戦。大会最注目のダルビッシュを擁した東北高校は、強豪校を退けてきた平安(現・龍谷大平安)を迎えた。
ダルビッシュと服部は、共に2年生ながら背番号1を背負っていた。服部はダルビッシュほどの知名度はなかったが、センバツでの好投もあり、制球のいいサウスポーとしては名前が通っていた。190cmを超える長身から繰り出す豪速球を武器にする右腕に対し、130キロ台ながら伸びのあるストレートとキレのあるスライダーで勝負する左腕。その対照的なスタイルも相まってメディアの報道を一層熱くした。