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「カンボジア国民との間にギャップがあった」元カンボジア代表GM・本田圭佑の腹心が語った“本田体制不発”の真相

posted2023/08/08 17:01

 
「カンボジア国民との間にギャップがあった」元カンボジア代表GM・本田圭佑の腹心が語った“本田体制不発”の真相<Number Web> photograph by Getty Images

2021年のスズキカップに臨んだ本田GM。このときのカンボジアはラオスから1勝を挙げたのみで、グループリーグ敗退という結果に終わった

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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 現役のプロサッカー選手でありながら、カンボジア代表のGMに就任し、実質的な監督を務めてきた本田圭佑。2023年5月に契約満了によりカンボジアでの5年間にわたる「プロジェクト」は終了した。同国サッカーの向上に尽力してきた本田の活動と功績とは一体何だったのか? 関係者の証言から検証する。<全3回の2回目/#1#3へ>

◆◆◆

 本田圭佑のカンボジアでの仕事検証の第2回で詳述するのは、本田グループが自分たちの5年間の活動をどう捉えているかである。第1回でも述べたように、筆者は本田本人からはコメントを得てはいない。本田をサポートしたスタッフたちの言葉から、彼らの真実を明らかにしたい。

 ひとりは広瀬龍。第2次本田体制(2021年3月~2023年5月)において、コーチングライセンスを持たない本田に代わり名目上の監督を務めた。

 本田は通常、監督会見に出席しない。会見は名目上の監督が対応した。それは第1次本田体制(2018年8月~2021年3月)では、日本のASラランジャ京都や佐川印刷でプレーしたアルゼンチン人のフェリックスであり、第2次体制では日本のS級ライセンスを持つ広瀬であった。結果として本田の言葉が、メディアを通じて人々に伝えられることはほとんどなかった。

 もうひとりは木崎伸也。フリーランスジャーナリストである木崎は、ビデオアナリストの肩書で本田グループに参加した。だがそれよりも求められたのは、本田が頭の整理をするために彼に質問することだった。木崎のスタッフ入りは、本田自身の強い要望でもあった。

広瀬龍監督・シーゲームス敗退後会見

——この試合(カンボジアU22代表対インドネシアU22代表)が最後のゲームになりましたが、この大会を通して明らかになったカンボジアの今後の課題は何でしょうか?(初戦の東ティモール戦こそ4対0で快勝したが、続くフィリピン戦は1対1の引き分け。ミャンマーに0対2で敗れ、インドネシアにも1対2で連敗を喫し、カンボジアは目標であった金メダル獲得ばかりかグループリーグ突破も果たせなかった)

広瀬 結果は皆さんが見ての通りでした。勝利が必要な状況でしたが、何度かチャンスはあって、決めるべきところで決められなかったのが、カンボジアのひとつの大きな課題だと思います。

——今のカンボジアのレベルはどのあたりでしょうか?

広瀬 基本技術を積み重ねて確実なプレーができない。フィジカルの強さが身についていない。高さがない。そういったところが今後の課題だと思います。

——得点を決めきれなかったことが敗因とおっしゃいましたが、総合力でカンボジアが劣っていたという理解でいいのでしょうか?

広瀬 この4戦すべてで本田GMがプランを立ててゲームをしてきましたが、相手がプラン通りにさせてくれなかったのが現状ですし、総合的に個の技術が足りていないと私どもは感じています。

——これで本田さんのグループの仕事の一区切りになりますが、これまでやってきたこの手応えはどのように感じられていますか?

広瀬 本田GMがトレーニングや精神的なことを選手たちに伝えた。身についていないかもしれないけど、彼らを指導して世界のレベルを知らしめた。それを今後彼らがどう生かしていくかがポイントだと思います。

【次ページ】 ビデオアナリスト・木崎伸也の証言

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