――階級を上げることに本人は慎重ですよね。

「もう、本当に彼の実力の全部っていうか。どこが限界なのか。底が見てみたい。でも、限界とかそんな一般論が通用しないかもしれないです」

――と言いますと？

「当時、高校7冠でプロデビューしましたよね。確かに巧いし、強い。ただ、完成されていたというか、これ以上伸びしろあるのかな、と半信半疑でスパーをしていたんです。でも、そういう次元じゃなかった。もしかしたら彼には限界なんてないのかもしれない。米国の2団体王者にああいう勝ち方したんで、海外でもすごく注目されている。これからが本当に楽しみです」

笑顔で取材に応じる黒田雅之　©Masanori Moriai

　現在、黒田は介護士として働きながら、東京・多摩を中心にボクシングのグループレッスンやプライベートレッスンを行っている。「今度のレッスンでは、井上選手のコンビネーション、KOパンチをみんな打ちたいと思うので、ボディジャブからの右をやってもらおうかな」と微笑んだ。

＜前編から続く＞

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