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「野球の硬球や鉄で殴られているような…」井上尚弥のパンチは「どう考えてもスーパーフェザー級以上」 “怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之の証言 

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森合正範

森合正範Masanori Moriai

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photograph byNaoki Fukuda

posted2023/07/30 11:04

「野球の硬球や鉄で殴られているような…」井上尚弥のパンチは「どう考えてもスーパーフェザー級以上」 “怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之の証言<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

井上尚弥の強烈な右ストレートを浴びてよろめくスティーブン・フルトン。“怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之が語る井上のパンチの凄まじさとは

「自分の手駒が一つ一つ潰されていく」感覚とは?

――フルトンの手詰まりになる感覚って分かりますか?

「おまえとフルトンを一緒にするな、と言われるかもしれませんが、井上選手とスパーをやっていて思うのは、本当に自分の手駒が一つ一つ潰されていくんです。こうしよう、ああしよう、これはダメだったからあれしよう、それが全部潰されていく。もう、どうしようもないから打っていくしかないだろう、となってしまう。フルトンも5ラウンドあたりから、そうなっていたと思う。なんとなく慌て打ちみたいな。僕も慌て打ちをよくしていたので」

――井上の戦略も素晴らしかったですね。

「大橋ジムに何度も行かせてもらって、自分が井上選手とのスパーじゃないときも、ずっと見ていたんで分かるんですが、井上選手は何でもできる。あのパターンも本人は『練習した』と言っていましたけど、元からあるものを磨き上げたというか、元からたくさん持っている手札の中からフルトンに一番合うものを選んで、ドンピシャとはまった。それは(トレーナーで父の)真吾さんとかチームの力でもあると思いますね」

「野球の硬球とか、鉄で殴られているような…」

 井上は年内にも2団体王者マーロン・タパレスとの4団体王座統一戦が計画され、もし統一すれば、ルイス・ネリ、ジョンリール・カシメロとの防衛戦の構想があるという。

――しばらくスーパーバンタム級に留まりそうですね。

「スーパーバンタムで来年あたりにはやることがなくなってしまうのでは。自分はスーパーフェザーで『パンチが強い』と言われる人とスパーをやったんですけど、どう考えても井上選手の方がパンチが強い。強いというか、拳の感覚じゃない。野球の硬球とか、拳くらいの大きな鉄か何か、硬いものでドスッと殴られているような……。本当に痛いんですよ。あのパンチの質は階級が上がっても変わらない。あそこまで硬い選手はいないです」

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